WOWOWは「日本のNetflix」になれるか
境 最後に、大きな質問をさせていただきます。WOWOWが「日本のNetflix」になる可能性はあるでしょうか?
山本 (笑)大胆な質問ですね。率直に言って、Netflixのようなグローバルプラットフォームになることは、現実的には難しいでしょう。しかし、私たちにはNetflixにはない強みがあるんです。
我々は、グローバルに対してローカルにこだわる存在でありたいです。日本の優れたアーティストやクリエイターを育て、彼らの作品を世界に送り出す。そして、日本のエンターテインメント文化の発展に貢献する。これこそが、WOWOWの存在価値だと考えています。
さらに、日本の伝統文化と最新のテクノロジーを融合させた作品や、日本独自の社会問題を深く掘り下げたドラマなど、WOWOWにしかできない企画を積極的に推進していきます。
境 その戦略を実現する上で、課題はありますか?
山本 もちろん、課題はたくさんあります。一つは、グローバル展開に必要な資金と人材の確保です。また、海外の視聴者に日本のコンテンツの魅力を伝えるためのマーケティング戦略も重要になってきます。
しかし、最大の課題は、変化の速さについていくことかもしれません。テクノロジーの進化やユーザーの嗜好の変化は本当に速い。我々は常にアンテナを張り、柔軟に対応していく必要があります。
ただ、こうした課題があるからこそ、挑戦しがいがあります。WOWOWには、これらの課題を乗り越える力があると信じています。
インタビュー後記…プロパー社長だからこそ熟知するWOWOW独特の価値で怒涛の変化に対抗
私は、前社長の田中晃氏とは日本テレビ在籍中に仕事でご一緒し、エネルギッシュな仕事ぶりに感服した。山本氏は落ち着いた佇まいだが前社長に負けず劣らずエネルギーをお持ちで、多少突っ込んだ質問にも滔々と意見を述べられる。
そしてWOWOWで長年仕事してきたからこそ、その価値を熟知しており誇りを持っていることも伝わってきた。怒涛の変化が進むメディア業界を観察し、WOWOW独特の価値を生かして荒波を乗り越えようとしている。
この新しい船長のもと、WOWOWがこれからどんなコンテンツを生み出していくのか。たまたま会員となった一人の映画ファンとして、楽しませてもらおうと思う。まずは「ゴールデンカムイ」の続きを堪能したい。
山本 均(やまもと・ひとし)氏の略歴
1964年 埼玉県生まれ
1987年 東京工業大学卒業 西武百貨店入社
1990年 WOWOW入社
2007年 プロモーション部長、以降デジタルコンテンツ室長、マーケティング局 長、編成局長、人事総務局長を経て2019年から取締役
2023年 取締役副社長執行役員
2024年 代表取締役社長執行役員就任
〈聞き手の略歴〉
境 治(さかい・おさむ) メディアコンサルタント/コピーライター
1962年 福岡市生まれ
1987年 東京大学を卒業、広告会社I&Sに入社しコピーライターに
1993年 フリーランスとして活動
その後、映像制作会社などに勤務したのち2013年から再びフリーランス
現在は、テレビとネットの横断業界誌MediaBorder2.0をnoteで運営
また、勉強会「ミライテレビ推進会議」を主催
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版(TBSメディア総研が発行)で、テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。2024年6月、原則土曜日公開・配信のウィークリーマガジンにリニューアル。














