▼財源は?基礎控除アップは178万円ではなく113万円が適切ではないか
一方、国民民主党の経済政策について、財源の問題に警鐘を鳴らす意見もあります。
野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト・木内登英氏は、国民民主党は恒久減税を主張する一方で、政府の試算では約7.6兆円もの巨額の減収になることから、恒久化は不可能ではないか、としています。
ただ、木内氏は減収幅を抑える案を示していて、103万円の壁対策を低所得層に限定した減税にすれば、政府の試算による7.6兆円程度の大幅税収減を年間1030億円程度に抑えることができるとも試算しています。
この木内氏による試算は、所得税の基礎控除などを103万円から178万円まで引き上げる一方で、それ以上の年収の人には従来通りに103万円の基礎控除などを適用するとした場合、税収の減少規模は年間1030億円程度にとどまるとのことです。
そもそも、国民民主党が提案する178万円までの基礎控除等の引き上げは、過去30年間の最低賃金の上昇率である1.73倍に基づくものです。
これについても、木内氏は、基礎控除が「最低限の生活を保障する狙いで導入されている」とすれば、基礎控除の引き上げ幅は、消費者物価上昇率の約10%、つまり113万円とするのが適切とも述べています。
荒い概算であるとの前置きがあるものの、木内氏の試算によれば、すべての人の基礎控除を引き上げたとしても、税収の減少額は1.1兆円以下に抑えられるのではないか、としています。