ただ、壁を178万円に引き上げるにも問題点があります。

1つは「税の減収」です。

政府の試算によると、仮に所得税と住民税の基礎控除を178万円に引き上げた場合、国と地方の合計で年間約7兆6000億円の税収減になるといいます。少子化対策や防衛力強化などでさらなる財源確保が必要ななか、7兆円以上の税収減をどのように補うかが大きな壁となります。

もう1つが「別の壁の存在」です。

103万円の壁は「税制上の壁」といえますが、これとは別に「社会保険上の壁」も存在します。

年収が130万円を超えると、親や配偶者の扶養から外れ、これまで払っていなかった社会保険の保険料を自分で払うことになります。