3年目の奇跡「高校生の可能性は無限」

夏の吹奏楽コンクールで中国大会初出場を決めたメンバーたち

「あの」1年生たちが、最終学年を迎えた2023年。5月には、新型コロナウイルスが5類に移行、高校生の部活動は平常を取り戻した。桜が丘高校の音楽室も、熱気を増す。わずか2年前には、たった3人と廃部寸前に追い込まれた吹奏楽部が、すっかり活気を取り戻していた。集大成と位置づけて臨んだ広島県吹奏楽コンクール・高校小編成の部で2年連続の金賞を獲得。広島県代表に選ばれ、創部初となる中国大会出場を果たした。勢いそのままに、中国大会でも金賞の快挙を成し遂げる。

快進撃は止まらない。学校名を伏せた形で録音審査される日本管楽合奏コンテスト予選審査会では、全国大会への出場権が得られる最優秀賞を受賞。全国の有力校が揃う東京の会場、文京シビックホールで初めて音色を響かせた。

金山純也教諭
「実は、最後のコンクールに出場できなかったあのときのメンバーは、大学進学後も、コンクールの補助員や定期演奏会のスタッフとして手伝ってくれて、吹奏楽部を今でも応援してくれています。後輩たちの活躍を自分のことのように喜んでくれています」

定期演奏会 コンクール出場が叶わなかった3人や中国大会初出場メンバーが顔を揃えた

青春をあきらめなかった3人がつないだ吹奏楽部の歴史。「やればできる」の精神で歩んできた金山教諭と部員たちの努力が、ひとつひとつ、実を結んでいった。