まずは“メリット”を国民に提示すべきでは

制度などが変わる時、必ず何らかのハレーションは起きることは歴史からも明らかだ。ただ、もしも制度や仕組みを変えた方が利便性が増すなどのメリットを感じれば、人は自ずとそれを選択していくはずだ。国は、期限を切って制度を変えるのでなく、マイナ保険証がいかに便利でメリットがあるかを国民に提示することに力を注ぐべきた。

今や9割以上の利用率を誇る高速道路のETCカード、スタートは2001年だった。しかし、20年以上経過してもETCレーン以外に一般レーンを設けている。そう、ETCカードへの移行も、未だに二刀流なのだ。ただ、ETCの利便性を感じた国民が利用率を徐々に押し上げてきた。愛知県保険医協会の荻野理事長も「保険証も移行するには、ある程度の時間が必要だ」と力説している。

もっと時間をかけて、丁寧に国民の理解を求めていくことが必要なのではないだろうか?その理解には、もちろん「納得」と「共感」が含まれるのは言うまでもない。

衆院選でも争点の一つになった「マイナ保険証一本化」。この声を拾ってくれるのは、石破総理なのか?それとも野党なのか?永田町で政治の枠組みを模索している
間に、期限を迎えそうだ。

取材:CBCテレビ解説委員 大石邦彦