ーー票が減少傾向にあるのはどういった理由が考えられるのか?

後藤部長:
一番大きな要因はコアな支持層の高齢化だと思います。公明党に限らず組織政党と呼ばれる既存の政党は支持者の高齢化に悩んでいます。そのために票の減少や、票の掘り起こしが困難になってきていると思います。

支持層に若い人たちを取り込むなど、ウィングを広げざるを得なくなると思いますが、その場合の一つの答えとしては、“世代交代”党の“顔”を変えイメージを刷新することがあるんだと思います。石井さんの名前が一度挙がったというのは、票の減少傾向を抑えるためには世代交代で次の新しい世代の方にアピールする体制を作っていこうという選択肢もあったんだと思います。ですが、統一地方選挙を控えているので現状のより安全策というか、現実的な判断をしたのだと思います。

ーー公明党は25日に党大会を開きます。そこで山口代表の続投が決まる見通しです。これから山口新体制が向き合う課題はどのようなモノがありますか?

後藤部長:
やはり公明党の得票数の減少傾向を改善すること。これは求められると思う。そのためには公明党の存在感をどのようにアピールしていくか、自民党との違いや独自性を強調していくことは大切なんだと思います。

もう一つの課題には旧統一教会の問題があると思います。公明党の基本的なスタンスは旧統一教会の問題は霊感商法や高額の献金など、元信者やその家族とのトラブル、そういった行為自体が問題なのだ。そういった問題にどう取り組んでいくかを強調しています。つまり、政治と宗教との関わりの問題にあまり焦点が当たるのは好ましくないという考えです。確かに「信教の自由」は憲法で保障されていますから、その点と旧統一教会のトラブルについては線を引くということは重要だと思います。ただその場合、いま自民党でも旧統一教会と個別の議員の関係性の調査が発表されていますが、その後も調査漏れがあったことを報告している議員も出ています。

そうしたことを踏まえると、政治と宗教のあり方はどういった関わり方が適切なのかということを、公明党も創価学会が支持団体としてあるわけですから、より政治と宗教の関わりについて一つのモデルケースを提案していくことも出てくるのではないかと思います。

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後藤俊広
TBSテレビ 報道局政治部長

小泉純一郎内閣時から政治報道に携わる。郵政民営化を巡る自民党の小泉VS民営化反対派の闘いや自民→民主、民主→自民の2度の政権交代などを現場記者として取材する。趣味はプロ野球観戦で中日ドラゴンズの落合博満元監督を取り上げた「嫌われた監督」が座右の書

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