地下鉄なのに、どうしてこの区間だけ地上を走る?
北海道の地理歴史に詳しい、街歩き研究家の和田哲さんが教えてくれました。
和田さん「札幌でオリンピックをやることになったので、地下鉄を急いで作らなければならないということになった。土地の買収にも時間がかかるし、工事にも当然時間がかかりますよね。できるだけそれを短縮したいというミッションがあった」
1972年の冬のオリンピック開催を控えた札幌。
マイカーブームで市内の渋滞は日に日に深刻化していて、オリンピックまでに、主な施設がある真駒内まで地下鉄を通すことは必須でした。

そこで取られたのが、驚きの策。
和田さん「定山渓鉄道が廃止された線路跡を買い取って、しかも地上を通せば工期も短縮出来るということで、南平岸駅から真駒内駅のあそこだけ地上区間になった。もちろん予算が安く済むっていう利点もある」
そう、すでに廃止になっていた鉄道の線路跡を買い取り、そこに地下鉄を通すことで、工期短縮を図ったのです。
その鉄道とは、1969年に廃止された定山渓鉄道。
東札幌と、温泉で有名な「定山渓」を結んでいました。

当時の地図を見ると、定山渓鉄道と、地下鉄南北線の南平岸駅から真駒内駅の区間はピッタリと重なります。


そしてオリンピックを1か月半後に控えた1971年12月16日、地下鉄南北線は無事に開業しました。