情勢に変化 野党共闘なくても“接戦”のワケは?
藤森祥平キャスター:
後半に入った選挙戦。情勢に変化が見られています。

小選挙区の投票先(調査・共同通信社)
調査日12日・13日 与党系候補28.5% 野党系候補22.9% 決めていない46.6%
調査日19日・20日 与党系候補24.6% 野党系候補33.2% 決めていない41.0%
公示の直前の12日・13日に行われた小選挙区の投票先についてです。与党系の候補が野党系の候補より5ポイント以上リードしていました。ところが、最新のデータによりますと与野党逆転し、野党系の候補が33.2%、与党系候補24.6%ですから、8ポイント以上野党系がリードすることになっています。
この他、各社の情勢調査を見てみましても、自公を合わせての与党での過半数維持が微妙になっているという結果もありました。
小川彩佳キャスター:
1週間余りでこれだけ情勢が変わっている。何が起きているんでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
非常に珍しい現象なんですけれども、当初は自民党なり自民党の固い支持層、それから立憲民主党の固い支持層が支持を表明していました。ところが1週間後、いわゆる無党派層の人たちの動向がどちらかというと野党系候補に多く流れているということで、この傾向が続いてくると、27日までにかなり大きな地殻変動が起きるのではないかと見られます。
藤森キャスター:
もしこのままだと、まだ決めていない人たちもじわじわと、さらに野党系候補に増えて流れるケースがあると。
小川キャスター:
今後も情勢は変化していく可能性があるということですけれども、どうなりますかね?

東京大学・斎藤幸平准教授:
気になるのは野党共闘が今回はできてないということです。宮城県で野党共闘ができて自民党が実際相当苦戦しているのを見ると、「立憲共産党」なんていう一部の呼び方に乗っかって、都知事選の総括も十分にしないままに今回は野党共闘しないという選択をした立憲民主党の執行部とか、連合に失望している有権者も少なくないと思うんです。
特に裏金問題は元々は赤旗とか共産党の後見もあったわけです。そういう中で本当に立憲は政権を取るつもりがないのかなんていうふうに思っている人たちは無党派層に多いです。そうした人たちの票がもっとこれから令和とか国民民主とかに流れていく可能性があるんじゃないかと見ています。
小川キャスター:
野党共闘がもっとできていたら変わっていたのか。共闘ができていないから野党に不利という見方もありますけど。

TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
選挙区によっては必ずしもそうでもないところもあります。私が数多くの選挙区を見てきて、多くの選挙区ではこんなモデルが当てはまるんじゃないかなっていうのを作ってみました。

例えば野党共闘という話ですが、共産党系の票は野党系の票に上乗せしても、圧倒的に自公の票が多い地域が多いですから、これだと6対4でやっぱりかないません。

ところが野田さんが立憲の代表になったことで保守層も取り込めるということ、それから自民党の裏金問題で自民党に対する不信が強まっているということで、自民党の票の2つが立憲など野党系に乗っかってくると、5対4で勝つということになります。実はこういう現象がかなり多くの選挙区で生じています。これが今の自民党苦戦の一因になっていると思います。
小川キャスター:
むしろ野党共闘ができなかったことで、このような今の情勢の変化が生まれているということですか?
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
野党共闘をしなくても強い場合があるということですね。
東京大学・斎藤准教授:
そうなってくると、自公合わせても過半数割れなんて報道もありますけれども、石破政権は超短命になってしまう可能性がありますね。そこに国民民主なのか維新なのか、場合によってはさらに連立に入るなんていうことがあるのかもしれないですけれども、政権の不安定化は避けられないと思います。
そうやって繰り返し繰り返し短命の連立政権が続くとどうなるかというと、例えばイタリアでは極右政権になってしまったわけですよね。この間の総裁選もそうですけれども、既存の政治に不満があって経済も良くなくて移民排斥傾向が強い日本も、このイタリアの事例は私は全然無関係な話じゃないというふうに思っています。そういう意味では本当に重要な選挙だと思います。特に若い人には、選挙に行かないとか白票にしようみたいなことは言わずに、ぜひ投票の選挙権を行使してほしいと思います。
小川キャスター:
まだわかりませんけれども、仮に自公で過半数割れとなるとどうなっていくんでしょう。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
まず石破総理は過半数を維持するというのが最低限の目標と言ってましたから、石破さんの責任を問う声が出ます。それから自民党は足りない分を維新と組むのか、どこかさらに他の党に協力を呼びかけるのか。ですからおそらく開票作業と同時並行で新しい政権の枠組み作りについても動きが出てくると思います。
小川キャスター:
投開票は27日になります。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済思想 社会思想
著書『人新世の「資本論」』が50万部突破

















