子どものワクチン接種は「チャイルドシートのようなもの」

 ―――子どものワクチン接種についてどう考えていくべきなのでしょうか。5~11歳の1回以上接種者は20.0%、12~19歳では76.4%。2回接種完了者は5~11歳が18.4%、12~19歳では75.6%ということです。街で取材すると「子どもは基本的に重症化しにくいのではないか。ならば、打つ必要はないのでは」という保護者からの声も聞かれますが、ワクチン接種についてはいかがですか?

 「どうしても今のワクチンは武漢のウイルスに対して作ったものなので、今のオミクロン株に対する効果は当初よりは落ちています。ですので、どうしても感染してしまうかもしれませんけど、ただ、かかったときに重症化するのは防ぐことができる。ただ、効き目も前ほど長くはないので、ある一定の期間を経たところで、やっぱり追加の接種をした方が、より有効性というものをしっかりと引き出すことができると思います」

 ―――そこは子どもに対しても同じ考え方ということですか?

 「はい。確かに5~11歳のもともと健康な子どもさんが重症化する確率は低いです。子どもたちがこの新型コロナにかかって命にかかわる確率は、今のところの数字だと0.0006%とかなり低いですけど、ただ、起こるときは起こる。よく私はチャイルドシートみたいに例えるんですけど、チャイルドシートをつけなくても一生の間に1回も子どもの命にかかわるような交通事故を起こすということはまずないわけです。でも、たまたまそういう事故を起こしたときにチャイルドシートをしているかしていないかで命にかかわる確率は十数倍違う。ワクチンも同じで、ほとんどの場合、ワクチンを打とうと打つまいと重症化しないのにということですけど、たまたま重症化することに当たってしまった場合、ワクチンを打っていればそこまでにならずに済んだのにということはやっぱり出てくると思います。ですので、なかなか実感しにくいですけど、そのようなものだというふうに思っていただければよろしいかなと思っています」
  ―――チャイルドシートは義務ですが、5~11歳の子どものワクチン接種はあくまでも“努力義務”という形ですね。森内先生は、親子がともに納得してすべきもので、ワクチン接種に義務・強制・同調圧力があってはならないというお考えですね?

 「ワクチン接種について私は推奨はしていますけれども、ただ義務という言葉を使うと、いやいや打つ人が出てくるかもしれない。例えば『義務になっているのにお前打っていないじゃないか。そのためにみんなクラスで流行って修学旅行に行けなくなったぞ』みたいないじめに繋がってもいけません。それから、不安感・恐怖感があるにもかかわらずワクチンを接種すると、ワクチン成分とは何の関係もなしにそういうストレスによって起こる反応というのが出てきます。よくあるのは血管迷走神経反射と言われる、お化け屋敷とかホラー映画でバタって倒れるのと同じような反応がワクチン接種のときに起こることがあります。倒れたときに打ち所が悪いと奥歯を折ってしまったり大きいたんこぶを作ったりとか、実際にそういう報告がありますけれど、これは当事者にとっては紛れもなくワクチンの副反応ということになります。たとえ、実は空打ちだったとか中身が生理食塩水を間違えて打ったというときでも起こってしまうことではありますけれど、やっぱり同調圧力・強制があると、そういうことが起こってしまう。それも広い意味ではワクチンによって起こるデメリットになってしまいますので、少なくとも親御さんはしっかり納得する。5歳の子どもは納得しないのは私たちは経験しておりますけど、ただ、子どもたちも親が納得している場合と、親も何か不安に思っている場合とではストレスのかかり方が全然違いますので、十分に納得できるまで、かかりつけの先生とご相談をしてから接種会場に行っていただきたいと思います」