戦闘激化で“麻薬ビジネス”拡大「原料は中国など近隣国から…」
ミャンマー最大の麻薬密売拠点となっているのが、ラオス・タイと国境を接する北東部シャン州の山岳地帯だ。「黄金の三角地帯=ゴールデントライアングル」と呼ばれている。
タイ側から幅20メートルほどの小さな川を挟んだ先にミャンマーの住宅地が広がる。ただ、日本人などの外国人は容易に立ち入ることはできない。

筆者は今年2月、ミャンマー北東部シャン州で覚醒剤やヘロインなどを扱う密売組織とつながりのある男性に話を聞いた。
ミャンマーの麻薬密売組織とつながりのある男性
「シャン州では主にいくつかの少数民族が、アヘンからつくられるヘロインや“ヤーバー”と呼ばれる(錠剤型の)覚醒剤などありとあらゆる薬物を密造しています」
「少数民族は麻薬を戦闘用の武器と交換することもあれば、密売で得た資金を武器の購入にあてることもあります」
「製造機械の多くは中国などから運ばれていて、(各村の)村長などが生産を管理し、その上には元締めがいます」
男性によると、麻薬の原料や製造機械は、中国やインド、パキスタンといった周辺国から集められる。密造された薬物の多くは、タイやラオスへと陸路で密輸されるという。クーデター以降、軍との戦闘が激化する少数民族は、麻薬の密造・密売を拡大することで、武器を調達しているとみられている。
さらに、こうした麻薬ビジネスに関わっているのは、少数民族だけではない。

ミャンマーの麻薬密売組織とつながりのある男性
「制服を着たミャンマー軍の幹部が(薬物の)取引現場に来ているのを何度も見ました」
男性は、ミャンマー軍が不足する外貨の調達などを目的に、「麻薬密売に関与している可能性が高い」と証言した。内戦状態が続くミャンマー情勢の背後にある麻薬ビジネスの複雑さ、根深さがうかがえる。
