「生まれ育った日本で働きたい」 支援者への恩返し
自分が周りとは違うことを突きつけられる日々。「自分に在留資格がないのは、両親のせいだ」との思いを募らせた。
だが、高校生の時、「何もしてあげられなくて、親として申し訳ない」と自分に頭を下げる両親の姿をみて、「親も追い詰められている」ことを知った。それ以来、「親を責めず、自分の未来を進んでいこう」と決めた。
「大学に入ったら、今の状況が変わるかもしれない」。予備校にはいかず、自力で受験勉強をした。奨学金は、在留資格がないため受けられず、両親は、日本にいる同郷の知り合いや、母国の親戚に頭を下げて回り、必死に学費を工面した。日本人支援者からの寄付もあった。

大学に進学すると、「生まれ育った場所で貢献したい」と思うようになった。両親の収入がない中で、これまで支援者たちから生活費や学費を援助してもらったことへの感謝と恩返しの気持ちからだ。
大学3年生の時に、就職活動を始めた。第一志望だった不動産会社の面接を受けた際、家を借りようとしても「外国人だから」という理由で、何度も断られた自身の経験を語った。「日本で暮らす外国人が安心して家を借りられるようにしたい」。
そんな思いが通じたのか、大学4年生の2023年8月、この会社から、内定を得ることができた。
