エディオン、しまむらも要注意チーム

昨年のクイーンズ駅伝10位で、細田あい(28)、矢田みくに(24)、水本佳菜(19)と主要区間の選手が揃うエディオンも前評判が高い。

パリ五輪マラソン補欠だった細田が、9月のベルリン・マラソンで2時間20分31秒の日本歴代7位をマーク。来年の東京世界陸上参加標準記録を突破した。細田はマラソンの疲労を考慮して起用しない方向だが、8月のU20世界陸上代表を辞退した水本は復調している。そして一番の期待は矢田である。16年の世界ジュニア5000m12位、18年のアジアジュニア選手権優勝と、U20時代に国際大会でも活躍した。

「(5000m、10000mとも20年にマークした)自己記録は更新できていませんが、安定感はついてきました」と沢栁厚志監督。「良い成長ができているので、ここから日本代表など次のフェーズに行かせたいし、手応えもあります。駅伝を弾みにしたいですね」3区の区間賞候補の1人だろう。

「スピードもありラストもある。重要区間を任せたい」(沢栁監督)のが3年目の中島紗弥(25)、「長い区間や後半区間で能力を発揮できる」のが2年目の平岡美帆(23)、そして「粘りがある選手。経験をさせたい」のが昨年の全国高校駅伝1区区間4位の名和夏乃子(19)だ。
 
三井住友海上やユニクロに対抗できるチームだが、エースの細田を起用しない可能性が高く「トップ通過にはこだわらない」と沢栁監督。「強い相手とどう戦うかより、自分たちの力を出し切りたいですね」


上記3チームの評判が高いが、9月のトラックの結果などで「しまむらも優勝候補の一角」という声が挙がり始めた。東京五輪10000m代表だった安藤友香(30)が加入。3月の名古屋ウィメンズマラソン優勝(2時間21分18秒=東京世界陸上参加標準記録突破)の後に大腿骨の疲労骨折が判明し、3カ月間走る練習に影響が出た。9月の全日本実業団陸上5000mが復帰レースで15分48秒65。「7割くらいの戻り」と太田崇監督。

それでも実力は折り紙付き。昨年のプリンセス駅伝(当時ワコール)もマラソン翌月だったが、2区で区間賞の走りを見せた。そして今年のしまむらの評価が高いのは、他の選手たちの底上げが著しいからだ。

新人2人が好調で「突き上げができてチーム状況をよくしている」(太田監督)。山田桃愛が9月末のAthletics Challenge Cup5000mで15分46秒60の自己新で、安藤にも先着した。「山田は駅伝タイプで1人で押して行く能力が高いですね」。鈴木杏奈(23)も「長い距離の練習ができている」という。髙橋優菜(25)は2月の全日本実業団ハーフマラソンで7位。5000mでも15分30秒台のスピードがあり「1年後には日本のトップレベルまで成長してほしい」と期待されている。
 
太田監督は「5位通過という目標を立てていますが、4位でも、3位でもいい」と、チーム状況に手応えを感じている。昨年は16位とボーダーラインぎりぎりで通過したチームが、今年はトップから見える位置を突っ走る可能性がある。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)