2019年の台風19号災害のような洪水被害を繰り返さないために、現在、千曲川などの信濃川水系では国による緊急治水対策プロジェクトが進められています。
堤防決壊の要因の一つとされる千曲川のいわゆる「狭窄部」。特に中野市立ヶ花の狭窄部は、1000メートルを超える川幅が、一気におよそ260メートルに狭くなる場所でした。


5年前、台風19号による大量の雨水はこの狭窄部でせき止められたようになり、行き場を失った濁流はおよそ5キロ上流にある長野市穂保の堤防からあふれ、決壊したとされています。
宮入キャスター:
「千曲川の狭窄部では緊急治水対策プロジェクトにより、川幅を広げるような掘削工事がおよそ3キロに渡って段階的に行われています」
2021年2月の工事開始から3年8か月。
2021年との比較すると、河川敷の部分が削られるなど川幅が広がっていることがわかります。


工事によって千曲川の水位を下げ、水害のリスクを低くするということです。
河川における対策は、被災施設の復旧や水位を下げるための掘削工事、それに遊水地の整備などです。
遊水地は、堤防の外側の土地を囲み、洪水の際に川の水を一時的にためる場所です。
堤防の一部が低い「越流堤」と呼ばれる部分から遊水地へ流すことで、川の水位を下げることができます。
宮入キャスター:
「立ヶ花からほど近い、中野市上今井の遊水地の工事現場では、70ヘクタールの土地を掘削しています。これにより640万立方メートルの水をためることができる計画だということです」

緊急治水対策プロジェクトでは、県内に5か所の遊水地を整備する計画ですが、現時点で工事が行われているのは2か所。
計画では2025年度から暫定的に遊水地としての運用をはじめ、2027年度までに整備を完成させることになっています。