おととし、愛媛県西条市消防が、市内の小学校に貸し出した訓練用の注射器の中に劇薬が入った本物の注射器が混じっていて、教員2人が誤って自分の足に針を刺していたことが分かりました。西条市はこれらを公表していませんでした。

誤って貸し出されたのは、アナフィラキシー症状の応急処置に用いられる「エピペン」と呼ばれる注射器です。劇薬に指定されているアドレナリン薬剤が中に入っていて、症状が出た際、自分の足に注射します。

西条市消防などによりますと、2022年4月ごろ、市内の小学校から要請を受け、複数の訓練用の注射器を貸し出した際、本物が混じっていたということで、研修で使用した20代と50代の男性教員2人が誤って自分の足に針を刺したということです。

「エピペン」注射器は、刺すと自動的に薬の注入が始まる構造になっていますが、2人の教員は病院を受診し、体調に異常は確認されなかったということです。

「エピペン」注射器が混入した理由について西条市消防は、当時、貸し出しを担当していた署員が現場に出動していて、引き継ぎが十分に行われていなかったためと説明しています。また、公表しなかった理由については、発覚後すぐ再発防止策を取ったためと説明しています。

一方、小学校を所管する西条市教育委員会は、担当者が変わっているため当時の詳しい経緯は分からないとした上で、児童がけがをしたわけではないことなどから、重大な事案ではないと判断した可能性があると説明しています。