そのカギは、いざという時に備えたあるマニュアルにあります。

BCP=事業継続計画。

災害などの緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画のことで、この会社では2011年の東日本大震災を機に、策定に取り掛かりました。

その直後、自社のタイの工場で水害が発生。

計画策定の重要性を再確認したといいます。

春日孝之社長:
「BCPが策定されていてマニュアルがありましたので、特に初動、まず初めに何をするか、現地確認とか、従業員をいつからどのように復帰させるとか」
「起こっていることに対して動揺してしまうのではなくて、起こってしまった現実を受け入れながらマニュアルに従って粛々と動いたので、初めの1週間くらいは取り乱すことなく、復旧への取り組みがスムーズに動いていった」

その後、国や県の補助金を活用しながら、復興計画に取り掛かり、被災をきっかけに、新規事業への展開も加速させました。

春日孝之社長:
「大きなダメージではありましたけど、一旦失った状態からスタートしないと。根本的にできなかった将来の競争力を生み出す工場づくりは結果的にできた」
「被災前より今の方が、供給能力、競争力が強化している、そういう意味ではいい意味で生まれ変わった」

春日社長が、次に取り組んでいるのが、会社がある、北部工業団地全体の防災力の強化です。

委員会の参加者:
「スピード感をもってそれに対処できるというプラスの面が…」

この日集まったのは、同じ工業団地にある各企業の若手経営陣。

業種や規模を超え、連携を深めることで、次の災害に備える考えです。

参加者:
「ツールは運用してほしいなと。長野市の災害情報アプリでも分かるけど、長沼1号排水路の状態など」
「情報をある程度流すのはかなり有用性がある」


現在は、7社が月に1回集まり、工業団地全体の連絡ツールの開発や、いざという時の避難経路の確認などを行っています。

竹内製作所 竹内優社長:
「1社では想定していない意見が上がってくる。各社ではどうするか参考になる」
「経験したことを連携して話し合える。両面から役立つ」

カイシン工業 堀洋平常務:
「経験者ならではの意見がたくさん出てくる。価値観の違うみんなで話すのがいい」
「自分たちがどうすればいいのか幅が広がる」

災害から何を得て、どう成長につなげるのか。

新たにできた企業同士の連携が、地域の防災力向上に繋がっていきます。