ぶつかった“壁”が自分を変える一歩になる
――松浦さんが思う努力を継続するモチベーションの維持方法は何でしょうか?
「続けていて何になるんだろう」「私、本当にうまくなっているのかな」「強くなっているのかな」という壁に当たった時に努力することを諦めてしまう方が多いと思います。努力で全てがかなうわけではないと思いますが、その壁に当たっていた時期が結果、自分を変えてくれた一歩だったんだと後で分かる時が来るはずです。僕自身もそうでしたが、努力していると思っているうちは強くなれないですし、夢中になっていて、後で努力だったのかと振り返ることもありました。壁に当たっている時は分からないですが、振り返るとその時期が良かったし、その壁があったから成長につながっていると分かるので、努力していることを俯瞰でとらえてどうか諦めないでほしいですし、楽しんでほしいと思います。
ボクシングと芝居はどちらも“努力”が必要
――ボクシングと芝居は近しいものがありそうですね。
リングに上がったら、そこまで練習してきたことは試合を見ている観客たちには全く見えない。でもその姿に感動したり、見えてくる何かがあるんです。それはお芝居も一緒で、いろいろ考えて培ったものは、セリフに出るわけではないけれど、映像で見た時に表現として伝わりますから。それにボクシングはゴングの「カーン」の音で始まって終わり、お芝居は「用意スタート」「カット」で終わる。この集中力の入れ方も似ているなと感じます。
――奈緒さんや玉森さん、岡崎さんの取り組む姿勢にボクシングの魅力が詰まっているように感じます。
ボクシングとは全く乖離した世界で生きてきた人が、ボクシングと出合って変わっていくというのは、それは奈緒さん自身にもリンクするだろうし、ほこ美を通してドラマを見ている方にも魅力が伝わるのではないかなと、教えていく中で感じました。僕自身もその姿勢を見ていてうれしいですし、あらためてボクシングって面白いなと思いながら指導しています。
ドラマに登場するボクシングジムの会長室に掲げられている“努力”の文字。「努力を見ている人は見ているし、ちゃんと形になるんだなと実感した」と自身の過去やキャスト陣の練習の様子を身振り手振りを交えながら、熱くボクシングの魅力を語ってくれた松浦氏。キャスト陣と作り上げた本格的なボクシングシーンには、現場の“熱”や“想い”が努力とともに詰まっている。