イスラエルは反撃するの?この先どうなるの?

イラン中部イスファハンへの爆撃(イラン革命防衛隊)

反撃することは間違いありません。問題はその規模と手法です。

4月の攻撃に対するイスラエルの反撃は5日後、イラン中部イスファハンへの爆撃でした。イスファハンにはイスラエルが警戒するイランの核施設がありますが、施設そのものへの爆撃ではなく、近くの空軍基地のミサイル防衛システムを標的にしたものでした。イスラエルとしてはイランのど真ん中にある軍事的に重要なターゲットに、イランの防空網をくぐってミサイルを命中させる能力を誇示したわけですが、300近いドローン/ミサイルによる攻撃に対する反撃としては極めて抑制的だったと言えます。イランも国営メディアを速やかにイスファハンに入れて「全然大したことない」とのメッセージを国内外に向けて発し、双方ともに「今回はこれでおしまい」という雰囲気になりました。

今回イスラエルは、その時よりは強めの反撃に出ると見られています。攻撃対象としては、前回同様イラン国内の軍事施設が含まれるでしょうし、シリア、イラク、レバノンなどでイラン革命防衛隊の将校を狙う可能性もあります。その規模がこれまでと比べてかなり大きかったり、イラン国内で革命防衛隊の要人を暗殺したり、というようなことがあれば、いったん幕引きをしたい意向をにじませるイランも再報復せざるを得なくなる可能性もあります。

イスラエルのネタニヤフ首相

一つ気になるのは、イスラエルのネタニヤフ首相が今週、ソーシャルメディア上で、英語でイラン国民に呼びかけたことです。

「イラン国民の皆さん、イスラエルは皆さんとともにあります」
「イランの独裁者は皆さんのことなんて気にかけていません」
「イランの政権は、気高いペルシャ人である皆さんを日々、どん底の淵へと押しやっています」

これまでも言ってきたようなことではありますが、タイミングが少々気になります。

いずれにせよ、これを書いている時点では、ボールはイスラエルのコートにあります。
イスラエルとしてもこの段階でイランと全面対決をしたいわけではないと見られます。ハマスそしてヒズボラという「隣接する脅威」を、向こう10~15年は立ち上がれないぐらいに叩きつつ、それらの後ろ盾になってきたイランには軍事力を見せつけて抑止する。さらに言えば、欧米に融和的な姿勢を見せているイランのペゼシュキアン大統領とアメリカとの間にくさびを打っておく、という計算もあるかもしれません。

なお、この先の展開に関連してもう一つ気になるのは、テルアビブ近郊のライトレールの車両内で起きたテロ事件です。ヘブロン在住のパレスチナ人の男2人がそれぞれ銃とナイフで乗客を襲い7人が死亡、8人が怪我をしました。公共交通機関でのテロが相次いだ第二次インティファーダ(2000-2005)の頃を彷彿とさせる事件です。ガザでもヨルダン川西岸でも酷い状況が続く中、今後、続発するかどうか、注意が必要です。