「イランはまだ抑制的」 背景に相次ぐ指導者殺害か

熊崎キャスター:
今回、イランがイスラエルを攻撃しましたが、攻撃に至った背景を見ていきます。
レバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」、ガザのイスラム組織「ハマス」、イエメンの親イラン武装組織「フーシ派」などを、イランが軍事支援しています。
そんな中、7月、イランが支援する「ハマス」最高指導者ハニヤ氏がイランで殺害されました。
さらに、9月27日、イスラエル軍が「ヒズボラ」指導者ナスララ師を殺害しました。
こういうことがあって、今回の攻撃に至ったとみられています。
狙いについて…

中東情勢に詳しい 防衛省防衛研究所 西野正巳氏
「反撃能力があるという事を示した。ただ、イスラエルの背後にいるアメリカに勝てる可能性が低いので、全面戦争するつもりはないのでは」
ホラン千秋キャスター:
「ヒズボラ」や「ハマス」は、国ではなく、組織ですよね。その指導者が殺害されたことをきっかけに、組織がどんどん力を失っていったり、縮小していくことはないのでしょうか。

須賀川拓 前JNN中東支局長:
まさに、それがイスラエル側の狙いなんです。ただ、背後にアメリカがいます。
イランは国内経済がガタガタで、しっかりと立て直さなくてはいけないという事情があります。イスラエルは、いろいろなものの足元を見て、周りにどんどん戦争を仕掛けています。
実際に、ハマスとヒズボラはどんどん弱体化しています。イスラエルにとってみれば、一種の勝利ですが、背後にいるイランが今後どう出るかです。

1日夜には、大量の弾道ミサイルが飛んできました。映像だけ見ると、本当に軍事施設だけに当たったのか不明です。
「これは大変なことになった」と私は思いましたが、蓋を開けてみたら、イスラエル側の死者は、ほとんどゼロに等しいです。イランはまだ抑制的だということです。
イエメンのフーシ派も、イランから大量の武器支援を得ていて、弾道ミサイルや巡航ミサイルを持っています。今後、イスラエルに攻撃してくる可能性は十分あります。
敵対勢力の弱体化がイスラエル側の狙いですが、周辺の情勢がこれで安定するかと言ったら、より一層不安定化していて、安全になっていない状態です。