およそ570人の中野市のブドウ農家に対して、プラム農家は90人ほど。
その中でもシナノパールを育てているのはおよそ20人に限られます。
そこには、栽培の難しさがあります。
【武田さん】「とてもデリケートなプラムでして、生理障害もありますし」
【宮入キャスター】「生理障害って何ですか?」
【武田さん】「病気ではないんですが果実が黒く褐変(変色)する、そういう症状がすごく出る品種なんですよ」
また、シナノパールはその大きさのため…。
【武田さん】「ポタンポタンと落下してしまう」
自らの重さに耐えきれず、1日に100個ほどが落下することもあり、栽培している半分が廃棄になると武田さんは話します。
【武田さん】「水管理や笠かけなどの『肥培管理(畑の管理』や『摘芯作業(枝切り作業)』も含めて、非常に春先から秋まで手がかかります」
極晩生の品種のため、長く手間暇をかけて栽培している武田さん。

その情熱は20年前から変わりません。
【武田さん】「約20年前に、県の試験場から私のところに現地試験に来た品種なんですよ。名前もなく」
栽培方法が確立されていない、名もなき新種のプラムを武田さんは当時、ほかのプラムと同じように育て、収穫しました。
すると。
【武田さん】「全然おいしくないプラムだったんですよ まあ10年くらいは売るなんてことはできなくて。もう周囲の農家からは、切った方がいいんじゃないかと言われて。そういった悔しさもありました」
その後、武田さんは研究を重ね、シナノパールにあった収穫時期を見極めました。
そして、収穫の時期を秋に遅らせ、大きく大きく育てることで、シナノパールのおいしさを最大限に引き出すことに成功しました。
「9月末ごろに初めて食べたら、あまりのおいしさに断然(栽培に)力が入りましたね」
県内ナンバーワンのプラムの生産量を誇るJA中野市もシナノパールの生産に力を入れます。
近年では生産量も安定し、全体の出荷量のうちおよそ2割が香港やシンガポールへ渡るなど、輸出も増えています。

また、国内では都内のホテルのシェフが新たな食材として注目。
シナノパールの評判は少しずつ広がっています。
シナノパールにこだわる理由は…。
【武田さん】「一番は味ですね 今までのプラムとはひと味違う。本当においしいんですよこれ。ぜひこれ日本中の消費者の皆さんに、間違いのないものを産地から送りますので、食べていただきたいと思います」