日本人の受賞は初めてです。岩手県遠野市出身の作家・若竹千佐子さんの芥川賞受賞作「おらおらでひとりいぐも」がドイツの文学賞、リベラトゥール賞を受賞しました。

 受賞は日本時間の7日未明、発表されました。小説「おらおらでひとりいぐも」は若竹さんの63歳でのデビュー作で、2017年に文藝賞、2018年に芥川賞を受賞しました。
 作品は70代の「桃子さん」が主人公で、先立たれた夫への思いや自らの老いについて東北弁で語られています。
 日本研究家で翻訳家のユルゲン・シュタルフ氏が作品をドイツ語に翻訳し、去年ドイツ国内で出版しました。ドイツの文学賞、リベラトゥール賞は1987年に創設され、ドイツで翻訳・出版されたアジア、アフリカ、アラブ地域などの女性作家の作品を顕彰するものです。
 今回の受賞について若竹さんはオンラインで会見を行い、喜びを語りました。

(若竹千佐子さん)
「知らない国の人が、本屋さんの店先に私の本があって、それを手に取って読んでくださる人がいるんだなということが感激でしたのに、ドイツで名誉ある文学賞をいただいたということで本当に感激しております」

 若竹さんと同い年の翻訳家、ユルゲン・シュタルフさんは主人公「桃子」に共感したと言います。

(ユルゲン・シュタルフさん)
「独立とかこれから、我々もできる、おらもできるという気持ちは一番大切だと思います」

 ユルゲン・シュタルフさんは原文の東北弁の部分はドイツ東北部の方言を使い、ニュアンスを大切にしたというエピソードも明かしました。
 授賞式は10月23日、ドイツのフランクフルトで行われ、若竹さんも現地に赴く予定です。