裁判長「『覚えていない』というのは理解できない」

~裁判長から被告人質問~

Q)「覚えていない」と何度か言っていましたが、なぜ覚えていないのですか?
被告「出張でいろんな場所に行っていて…」

Q)あなたは犯罪行為をしている。質が違う。「覚えていない」というのは理解できないのですが?
被告「人と会う機会が多いので、軽はずみにしてしまっていて、記憶が正確じゃない」「ほかの出来事が多すぎて覚えていない」

Q)当時、飲酒していた?
被告「(富山駅に)来る途中に“ほろよい”飲んでいたんですけど」「酒は関係していない」

Q)「結果としてこうなった」と話していたが、どういう意味ですか?
被告「わいせつ目的で富山に来たわけではなかったので」「衝動でやってしまった結果として…(という意味)」

Q)あなたは過去2回、警察の取り調べを受けています。これは異常なこと、過去2回で何を学んだのですか?
被告「学んだことはあったんですけど、(相手に)嫌な思いをさせてしまったことは(過去)2回も感じていたはずです」「当時は軽はずみに考えていたのかなと…」「人生の中で、良くなかったことに向き合えていなかったんです」

Q)重く受け止めていなかったのですか?
被告「やってしまったことに対して、自分事として考えられていなかったのです」

Q)彼女は「いやだ」と言っていて、恋人もいた。にもかかわらず、ストップできなかったことは異常だということは、今わかりますか?
被告「わかります」

Q)今後、精神科に行くのですか?
被告「はい」

Q)何のために行くのか、意味を理解できていますか?
被告「自分の衝動性、ADHDとかあると思うんですけど」「同じようなことを起こしたくないので、専門的な知識を使わないといけないレベルなのかなと…」

Q)では、なぜ保釈されてから病院を探さなかったのですか?
被告「うつのような状態になっていたので」「判決が決まってから動き出したいと…」

Q)被害者に対しては?
被告「一切、その周辺の方にもかかわらず深く反省して生きていきたいと思います」

裁判長は最後に、被告の犯行について「人の一生を変える行為」としたうえで「被害者に何ができるのか一生考えてください」「行動で示すようにして下さい」と話しました。

その後おこなわれた検察側の求刑。

検察側は
▼公共の場でわいせつな行為をおこなうなど、卑劣で悪質な犯行である
▼被害者はアルバイトを休まざるを得ず、男性のことを信じられなくなった。また、慰謝の措置がとられておらず、今後もその見込みがないなど、被害結果が重大である
▼身勝手な経緯、動機である
▼前歴があり、女子高生の体に触れた件から半年あまりで今回の犯行に及ぶなど、再犯の恐れがある
などとして、懲役3年を求刑しました。

弁護側は
▼前科がない
▼隠ぺいする意図はなく、計画性もない
▼取り調べなどに対し、正直に自供している
▼真摯に謝罪の言葉をのべている
などとして、執行猶予付きの寛大な判決を求めました。

裁判長に最後に言いたいことを問われると…。

被告「今後、同じことを起こさないよう、しっかりとした対策をして、まっとうに人生立ち直っていきたいです」「1日1日変わっていけたらなと思っています」

判決は10月21日、富山地裁で言い渡されます。