「やめて」と言われても「いけるかなと」

~検察側から被告人質問~

Q)あなたのしたことの何が悪かったのですか?
被告「女の子に胸を触るとか同意を得ずにやってしまったことです」

Q)少女の「やめて」を聞いていたのですか?
被告「当時あまり…正直記憶があいまいなんですけど」「テンション上がってストップできず、『ノリでいけるかな』という軽はずみにしてしまったのです」

Q)「やめて」と言われて「いけるかな」とは、どういうことですか?
被告「…、自分がノリで、本当に嫌がっているのか察してあげられなかったです」

Q)性欲を満たすために触ったですか?
被告「はじめは、性的なことは考えていなかった」

Q)では、なぜ声をかけたのですか?
被告「ナンパして、普通に話したかった」「その中でやってしまったので…結果的にはそうなってしまった」

過去にも2件、前歴がある被告に対し―

Q)「過去は変えられないから今後はやらない」と話しているが、過去2回で何も思わなかったのですか、学んだことはなかったのですか?
被告「学んだことはあったんですけど、活かせていなかったかなと…」「軽はずみに考えてしまっていた」「自分自身、このままじゃいかんなと。繰り返しているので説得力はないんですけど…」

被告は「うまくまとまってないんですけど」「緊張していて」「ニュアンスや言葉選びがうまくできていない」などと、何度も繰り返しながら質問に答えました。

Q)過去にも他人に迷惑をかけたことがあった。その時点では何も思わなかったのですか?
被告「当時、自分に向き合いたくなかったから」

Q)どうして?
被告「自分の嫌なところを見るのが嫌だった」「深く考えていなかったんです」

Q)その点をどう思っているのですか?
被告「自分の衝動性、短所を考えるきっかけにしたいです」「すぐには難しいが本気でやっていきたい」

Q)前回はそのように思えなくて、今回は思える理由は何ですか?
被告「逮捕されて勾留されたのも“いい経験”になったかなと…」

Q)前回は服の上から女性に触っていた。今回、犯行をエスカレートさせているようにも思えますが?
被告「結果的に、エスカレートしてしまった」

Q)自身の衝動性や犯罪歴について、今後どう対処していくのですか?
被告「必要であれば、心理学の面で、精神科で専門の知識を得てもう一度徹底したい」

Q)「必要であれば」と言ったが、自分は必要なレベルだと思うか。病院などに行ったのですか?
被告「まだ…」

Q)保釈中に行かなかったんですね?
被告「裁判が終わってから行こうと」「受診するクリニックは決めていなかったです」

Q)「少女の気持ちを汲み取れなかった」と言っていたが、どのような気持ちだったと思うのですか?
被告「怖くて断れなかったのかなと」「傷を負わせてしまった」「頑張ってつらい思いをしながら生活しているのかなと…」

Q)被害弁償するつもりはないのですか?
被告「相手の状況によると思います」

Q)“状況”とはどういうことですか?
被告「相手の方が申し出れば、です」

Q)あなたから申し出ることは?
被告「そういうわけではないんですけど、どうしたらいいかわからない」「今後、状況に応じて相談したいです」

Q)「ノリでやってしまった」という発言をしていたが、被害者にどれだけ重大なことをしたのかわかっているのですか?
被告「非常に重大なことと自覚しています」「うまく表現できないんですけど、人によっては一生トラウマになることも…」

Q)「人によっては」と言うが、誰でもトラウマになると思うのですが?
被告「緊張していてうまく言えないんですけど…」

Q)何か、今後していくことで、約束できることはありますか?
被告「被害者や、その周囲の人に一切かかわらない」「病院などで、心理的な勉強をし直して、短所と向き合って、長期的に変えていきたいです」「これから少しずついい方向に、まっとうに生きていきたいです」

被告は最後に、病院で治療を受けることを約束しました。