野田さんは、その後町の火山防災を担当し、シェルターの設置など安全対策を進めてきました。

噴火後、木曽町は山頂直下にコンクリート製のシェルター3基と鋼鉄製のかまぼこ型のシェルター2基、それに、隣の王滝村も火口に近い「八丁ダルミ」にシェルター2基を設置しました。

野田智彦さん:「ハード面の整備というのはすごく力を入れてきて、進んできたと思います。ただ正しく避難するための情報をどのように登山者さんに伝えるかっていうソフト面の対策というのは本当にこれから様々な工夫とか課題が解決していかなければいけない」

噴火災害を伝え継ごうと、22年にビジターセンターが王滝村と木曽町に開設されました。

「さとテラス三岳」では、御嶽山の成り立ちなどを説明し、実際に噴石があたって曲がった手すりや犠牲者の遺品が展示されています。

野田智彦さん:
「御嶽山の頂上剣が峰のところにあった祈祷所の壁は、真横からまるで弾丸のように噴石が飛んできたということがわかります。実物を見ることによって、人の命が奪われる危険なものであったんだと実感することがすごく大事だと思ってます」

「さとテラス三岳」には名古屋大学の研究施設も入ります。研究者が常駐し、山頂やふもと周辺に設置した複数の地震計のデータを監視します。

金幸隆(キム・ヘンユン)特任准教授:
「最近の1か月間ぐらいは活動は低調だが、安心ということではない。ないということは、そこにエネルギーを蓄積してるっていう可能性が考えられ、決して油断してはいけない」

これまでの地震観測から、水蒸気噴火の元になる熱水がどの辺りにたまっているか推定できるようになるなど、研究の成果は上がっています。

金幸隆(キム・ヘンユン)特任准教授:「自然のことなので、予測予知っていうのはやっぱ難しい。一人ひとりが常に災害リスクを考えておくことが重要。どうしても技術は自然の力には勝てない」

また、地元では、子どもたちへの防災教育が続いています。