戦後最悪の火山災害となった御嶽山の噴火から9月27日で10年となります。
シリーズでお伝えしている「噴火から10年」。
今回は、あの日、山に登ったまま今も行方が分からない息子を捜し続ける父親の思いです。

野村敏明さん:
「遺族の気持ちの持ち方と行方不明者の家族の気持ちの持ち方というのはやはりちょっと違って、大切な家族がなくなったというのは一緒なんですけど、(家族が)見つかって葬儀をやってお墓に入れることができれば、区切りはついてもいいと思いますが、うちにはそれがないので…」
愛知県刈谷市に住む野村敏明(のむら・としあき)さん。
最愛の息子・亮太(りょうた)さん(当時19歳)が噴火に巻き込まれ、今も行方が分かっていません。
サッカーが好きで何事にも真面目に取り組む性格の亮太さん。
噴火発生の年に大学に入学し、充実した毎日を送っていました。
亮太さんの父 野村敏明さん:
「亮太は発災当日、朝早くに家を出ていったんですけど、その時の情景というのは一生忘れないので、そういう意味で10年が長いかというと長くもあり、感覚的には本当についこの間のように感じることもあります」
2014年9月27日。

亮太さんは叔父の正則(まさのり)さんと一緒に、御嶽山の頂きを目指していました。
息子と連絡がとれなくなった敏明さんは、すぐにふもとの王滝村に駆けつけました。
野村敏明さん:
「何も見えない状況ではぐれちゃって、結局息子と連絡がとれていないので、本当にすごく心配しています」
大規模な捜索で見つかったのは、亮太さんのリュックなど身に着けていたものだけで、消息は分からないままでした。
野村敏明さん:
「これだけ大事なものが見つかったということは、そこらにいるんじゃないかと本当に自分らも思ったし、これは見つかるぞと」
しかし発生からおよそ1年後。