"だじゃれは for someone"「スタバはないけどスナバはある」
鈴木さんが代表を務める日本だじゃれ活用協会では、全国各地の職場や学校、高齢者コミュニティや自治体など幅広い場で"だじゃれ"の基礎から応用について指導をしている。その講座では"だじゃれの光と闇"についても論じられるという。

鈴木さん
「"だじゃれ"は優れたコミュニケーションツールであるにも関わらず、どうしても『寒い』『ウザい』といったネガティブな印象を持っている方も多いかと思います。特に若い人たちから嫌われてしまう傾向がありますね」
──いわゆるオヤジギャグですね。
鈴木さん
「そうです。オヤジギャグは『for myself』。自分が言いたいから言うことを優先し、その結果、失笑・批判・侮蔑の対象になって周囲との関係性を悪化させてしまいます。これでは"ギャグハラ"です。
一方で"だじゃれ"は『for someone』。相手を楽しませたい、雰囲気をリラックスさせたいなど、誰かに何かを届けたいという愛情があります。それぞれ根本にある欲求が異なるのです」
『for someone』な事例として教えてくれたのが、鳥取県 平井伸治知事の「鳥取にスタバはないけどスナバはある」だ。大手コーヒーチェーンの「スターバックス コーヒー」が県内に1店舗もないことを逆手に捉え、砂丘にかけた発言だ。この名言は話題の創出性と同時に鳥取県のPRに一役買う結果となり、現在でも"だじゃれ"が県の情報発信の一つとなっている。
つまり相手中心である"だじゃれ"は場の雰囲気を和ませ、周囲との関係を円滑にし、それが質の良い職場となり、やがて良い業績へと繋がるというわけだ。

そうは言っても そんなすぐに気の利いた"だじゃれ"なんてすぐには思いつかないもの。鈴木さんは「いきなり『笑いを取ろう』とするのではなく『スベってなんぼ』で繰り返し実践するのみ」だという。しかも万が一、スベった場合の対処法もあるらしい…