僕、じつはインコースが大好きなんです
Q.自分はイチローさんみたいなタイプのバッティングがしたくて。自分の中ではイチローさんはすごい流すイメージが強い…流すとバットが後っていうか遅れて出るイメージだと思っているが、その時に自分はインコースが苦手でその時に詰まってしまうことが多いんですけど、その時はどのようなイメージで打ってるのか教えてほしいです。
イチロー:
僕、じつはインコースが大好きなんですよね。インサイド、でも大好きだから、大好きなんだけれど、でもそこにインサイドのインコースの速い球を待ってると、やっぱこれを開かされる。遅れたくないから。そうすると外に抜かれたりしてバット届きませんとか振らされたり。それはすごく嫌なのね。
だから好きなインコースなんだけど、そこは何か逃げる術を僕は携えたというか。基本的には追い込まれれば追い込まれるほどやっぱセンターからショートの上ぐらいのイメージでやってたことが多い。だけど本来はここが大好きなのね。流すというよりは、もちろん体の前で出されてバット残して拾った感じでショートの上とかたくさんあるんだけれど、それは流すという感触に近いかな。でもその【左バッターがレフト前に打つことが別に流してるわけではない】、しっかり捉えて【力を伝わった打球であればそれは僕は流すとは言わない】ので。
僕のバッティングの特徴はとにかく手が残る事
まあ左方向は全部流すという表現をするなら、それはちょっと違うかもしれない。【その考え方を変えた方がいいかもしれないね】。だから極端に言えば、ライト、左バッターがライトに打っても流すこともある。引っ張っているのに流している、のはある。レフトだけど、レフトで引っ張ってるとは言わないけど、流しではない。僕のバッティングの特徴はとにかく手が【ここに残る事】(※ここ…バッティングで構えた辺り)なんだよね。

それさえできれば、もう、よく言われるのはキャッチャーやっている人はすぐ分かるんだけど、あれ、見逃すと思ったら最後に出てくるって。それぐらい遅い手が。それはよく言われる。
【詰まらされたら負けという考え方】は…
キャッチャーをするとよくわかるんだけど、これが【出来ない人はどうしても手が出ていく】。【詰まりたくない、詰まりは負けだという考え方は捨てた方がいい】と思う。最終的には、だってヒットになる事が技術なので、【詰まらされたら負けという考え方】は、これは危ないんです。
でも、そういう人すごく多い。プロ野球選手も。詰まりたくない。だから手が早くなっちゃう。でもそれするともう、穴がたくさん見えちゃう。詰まっているのにヒットにされる、相手からしたらね。あれは打ち取っているのに“落とされる”とかっていうバッターが嫌なんですよ。勝負強いバッターは甘い球をゴーンってチャンスでホームラン打つバッターじゃなくて、いやらしい球を詰まってても、先でもヒットにするバッターが勝負強いバッター。相手が嫌がるタイプ。そういうのを目指してほしいね。詰まっていいんだ全然。詰まり方はあるけどね、確かに。
詰まりイコール負けでは全くないです。それでヒットにされることの方が、甘い球をどかんって打たれるよりもピッチャーは嫌だと思う。だって甘い球投げなきゃいいわけだから。そういうバッターは。厳しい所投げている、振ってほしい球なのに、で、実際振っているのにヒットにされる。これが相手としたら一番嫌だと思う。キャッチャーも嫌だと思います。どうですか?それピッチャーやっている人キャッチャーやっているそう思わない?甘い所ははさ、甘い所投げなければ、いい訳だから。そんなの負けじゃないよね、だって失投なんだもん。失投を捉える技術というか、それは大事な事だけど、でも相手が振って欲しい球、いい球、相手からすればいい球投げているのに、 “なんで”ヒットをされる方が嫌でしょう。それを目指してほしい。
「生涯忘れない日になります」とイチロー氏が大切にする「高校野球女子選抜」との試合と選手達への講義はさらに熱を帯びていく…
【後半】は…
イチロー氏 「怪我した人は実は強くなる」そして「優しい人になって欲しい」高校野球女子選抜に贈る言葉【後編】
【過去の対戦成績】
2021年 KOBE CHIBEN 1-0 高校野球女子選抜
2022年 KOBE CHIBEN 7-1 高校野球女子選抜
2023年 KOBE CHIBEN 4-0 高校野球女子選抜
2024年 KOBE CHIBEN17-3 高校野球女子選抜
【イチロー選抜 KOBE CHIBEN】
チーム名の由来は高校野球の強豪・智辯和歌山から。イチローが試合観戦時に応援団のブラスバンドに魅了され大ファンになり、練習拠点とする神戸を掛け合わせて「神戸智辯」となった。