足首を固めることで厚底シューズに対応
4月に国内の小さな競技会で復帰した山西は、5月にはポーランド・ワルシャワ(5日)、スペイン・ラコルーニャ(18日)と20km競歩を2連戦した。自身初の試だったがワルシャワは1時間19分37秒で3位、ラコルーニャは前述のように1時間17分47秒で優勝した。足元は厚底シューズだった。
「日本選手権は時間に追われて厚底は断念しましたが、(代表入りを逃して)時間を気にせずチャレンジできると思って取り組みました。5月の遠征前はまだ、あーでもない、こーでもないと、探り探りの状況ではありましたが」
試行錯誤した結果、足首の固定の仕方がカギになるとわかってきた。
「以前の薄底シューズは踵側の衝撃吸収がしっかりしていて、踵にスイートスポットがある感じでした。厚底はカーボンがたわむところにスイートスポットがある。以前は真下のかかと接地する意識での歩きでしたが、厚底はもう少し前側に乗せて接地します。その2つでは足首の固め方が違います」
ワルシャワではまだ踵側に意識を置いて歩いたが、警告を取られてしまった。ラコルーニャでは警告はゼロだった。完璧になったとはまだ思っていないが、5月の2連戦で厚底シューズ対応の目処が立った。
ハイペースの争いを制すれば日本記録更新も?
全日本実業団陸上は「もちろん優勝を目指して頑張る」が、一番の目的は「秋のレース全体で、夏にやってきたことを確認し、来年2月の日本選手権に向けての課題を見つける」ことにある。秋は全日本実業団陸上の10000m競歩、10月上旬の10km競歩(スペイン)、10月27日の全日本競歩高畠の20km競歩を予定している。
「カーボン入りのシューズを履いたときの歩型は審判に、ロスオブコンタクトに見えやすくなるんです。そこを上手く扱うことが一番の課題です」
国内のトップ選手が集まるレースは国際大会と違い、スローペースになることはほとんどない。スパート力が勝敗を分けることもあるが、基本的にはレース時の各選手の力そのものがぶつかり合う。
池田はパリ五輪こそ7位と良くなかったが、21年東京五輪、22年オレゴン世界陸上と連続銀メダルの選手。2月の日本選手権では1時間16分51秒の日本歴代2位、世界歴代3位で快勝し、山西不在のパリ五輪ではリーダー的な役割も務めた。パリ五輪は18位と振るわなかったが、濱西諒(24、サンベルクス)は5月に5000m競歩の日本記録(18分16秒97)をマークしている。
国際レースでの実績は山西が勝るが、国内レースでスピードを争う展開なら他の選手たちにも勝機はある。全日本実業団陸上もスローな展開になることは考えにくく、「37分台も出したいと思っています」と山西。暑さが残る時期なので決めつけることはできないが、これだけのメンバーがしのぎを削れば37分25秒21の日本記録更新も可能性はある。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
※写真はオレゴン世界陸上の山西選手

















