「気持ち楽になった」9年以上不妊治療の30代夫婦 台湾で『卵子提供』決意

一方で、卵子提供などの生殖補助医療に積極的に取り組んでいるのが台湾だ。海外からの渡航者に医療を提供するビジネスも盛んで、台湾で卵子提供を受ける人のうち約15%は外国人だ。

大阪の説明会で卵子提供を受けることを決めたAさん夫婦。台中市のクリニックを訪れ、提供を受けた後の生活について医師の指導を受けた。


「移植した後、大人しく生活するよりも普段生活する感じでいいんですか?」

台中NUWA生殖医療センター 王懐麟 院長
「身体に負担がかからない生活をして、移植後は細心の注意を払ってください」
「正常な胚盤胞の場合は妊娠率は70~80%、ガンバリマショウ!」

費用はおよそ260万円。ドナーの血液型や体型、顔立ち、学歴などについて希望を伝える人もいるが、Aさんが希望したのは…


「(Q.どういう条件を希望する?)血液型だけ…卵子提供できるだけで有難いから、それ以上は望んでいないです」

このクリニックでは、過去3年間で100人以上に卵子提供を行ってきたが、そのうち1割を占めているのが日本人だという。

台中NUWA生殖医療センター 王懐麟 院長
「日本の人には、卵子提供が台湾では合法だとあまり知られていないと思います。日本のマーケットを開拓し始めたばかりなので、卵子提供の治療を受けた日本人は10人~20人の間です」

日本人の顧客には体外受精の失敗を繰り返した人が多いという。

台中NUWA生殖医療センター 王懐麟 院長
「日本からこのクリニックに卵子提供を受けに来るのは、40~50代の女性ばかりです。それまで日本で体外受精を10回~20回繰り返した人が多いです」

自分の卵子では体外受精に成功しなかった人でも、妊娠の確率が高まるのには訳があるという。

台中NUWA生殖医療センター胚培養室の担当者
「ドナーから提供された卵子がここで保管されています、90人以上の卵子が凍結されていて、1人あたり10~20個の卵子を採取しています」

長年、不妊治療を続け40代になった人の卵子と、20代、30代のドナーから提供された卵子では妊娠率が大きく異なるという。

台中NUWA生殖医療センター胚培養室の担当者
「夫婦の年齢が高くなると妊娠率は下がります。40歳以上に限定すると、15~20%です。しかし、ドナーから提供された卵子の場合、妊娠率は80%~90%まで上がります」

なぜ、台湾ではドナーが集められるのか。ドナーの情報は法律で守られ、生まれた子どもが将来求めても、それが開示されることはない。ドナーには仕事や生活の補償として約45万円が支払われる。

卵子提供を受けたAさん夫婦。10月にも受精卵の移植手術を受けるという。


「10か月間は自分のお腹の中に育てることができるので、愛情も出てくると思うし、実際、卵子提供で渡航して今まで自己卵にこだわっていたが、(卵子提供を)選択したら今まで苦労していた気持ちも楽になった」


「今まで子どもができない、目標に向けて進んでいるのにゴールが見えないというところで過ごしていた10年間が、この選択肢を取ることでかなりゴールに近づいてきているんじゃないかと前向きな気持ちになってるので、もしこれで結果がどうなろうと僕たちは納得できるんじゃないかと思うので」