「旧優生保護法」で不妊手術を強制されたとして浜松市の女性らが国に賠償を求めた裁判は、2024年9月13日、東京高裁で和解が成立しました。
一つの区切りを迎え原告の女性は「前を向いて生きていきたい」と喜びを語りました。
<野田栞里記者>
「武藤千重子さんが東京高裁に入ります」

1948年に制定された「旧優生保護法」をめぐっては、障害などを理由に強制的に不妊手術を受けさせられたとして原告が国に損害賠償を求めていました。
視覚に障害のある浜松市の武藤千重子さん(75)の裁判では2024年5月、国の賠償を認める一審判決が出ていましたが、国側が控訴していました。
9月13日、武藤さんと、県内在住の80代女性の和解が成立しました。

<武藤千重子さん>
「本当に、本当に肩の力が抜けたなってこれで終わりかな、私の中ではもう後ろを向いて歩かない。前を向いて自分がやりたいことをやって生きていきたいなと思っています」
代理人弁護士によりますと、国が2人にそれぞれ1650万円を支払うことで和解が成立したということです。

<静岡弁護団大橋昭夫団長>
「被害者の気持ちに立った良い判決を、それも手短に『旧優生保護法』自体が基本的に初めから立法当初から憲法に違反すると国がやってきた施策は間違っているとはっきり言って」
旧優生保護法をめぐる裁判の和解は全国で2例目、3例目となりました。

加藤こども政策担当大臣はさきほど原告団らと面会し係争中の訴訟について和解する合意書にサインしました。
これで旧優生保護法に関する訴訟は全面解決へ向かうことになります。