学校は嫌いではないけど…複雑な心境
作品販売を通して少しずつ自信が持てるようになった奏さん。
講演会ではミシン作品の話になると表情には笑顔が戻り、嬉しそうに語りだします。
奏さん「今は、今年のホームソーイングコンクールに向けた作品を作っています」
母親「夏休みは毎日ミシンをしているよね。中学校からは(苦手な)筆記を頑張るより(受賞歴を内申点に書ける)ミシンを頑張った方がいいんじゃないかと言われて、その言葉はすごくうれしかったよね」
奏さん「(筆記は)頑張ったところで結果が見えているから」
今ではイベントの主催者から出店を誘われることも増えた奏さん親子は「ありがたいことだ」と多くの人との縁を感謝しています。

奏さんは、好きなことを長く続けるためには「『やらなくちゃいけない』のは本当によくない」として楽しむことが大事だと強調します。その一方で、自身が抱える「字が書けない」という苦手なことについては、意外な言葉が返ってきました。

奏さん「苦手なことは目を向けないようにしている。自分の中では筆記用具という言葉はない。キーボードとフリップ入力しかない」
母親「自分の力量を分かっているというか、きょうはここまで、みたいな」
奏さん「自分は、字を書くことに関しては諦めちゃっている。自分でも読める気がしないし、読ませる気もないけど『まぁいいかな』と。白紙よりかはいいかなと」

自分の苦手と向き合いながらも、作品づくりを通じて少しずつ自信を取り戻した奏さん。奏さんの母親は「本人がやりたい時に、できた時が嬉しいので、そういう時に褒める」と話します。
奏さんには初めての講演を終え「学校に適応できない人がみんな落ちこぼれになってしまうのは嫌だという気持ちを伝えたかった」と話していました。