大島の歴史 空気感を伝えたい
(沢知恵さん)
「生涯ここから出られず、家族とも縁を切り名前を変えた人も多くいらっしゃいました。命を絶った人も多くいらっしゃいます」

大島の歴史を訪れた人に伝えるのも、沢さんのコンサートでは恒例です。

案内役のひとり、近井愛夢さんは、療養所で働く両親とともに、6歳まで島で暮らしました。

(近井愛夢さん(23))
「私とあと3、4人くらいが託児所で日中過ごして、夜はみんなで海に行ったりして過ごしていましたね」
「私は小さいときから暮らしていたので、差別とか偏見とか何もなく、それが当たり前として育ってきたんですけど、今は明るい皆さんですけど、こういう歴史があってというのを知ってもらうのが一番かなと思います」

(訪れた人)
「同じ香川県に住んでいてこういう歴史を知らなくて、子どもにも伝えていくべきかなと思って」

「偏見というかね、昔の歴史は変えられないので。少しでもみんなに広がっていって、みんなが理解して、誤解のない世の中になっていけばいいなあと思いましたよね」

(沢知恵さん)
「空気感みたいなものも含めて、残し伝えることができたら。きょう来たお客さんは、それを受け取って帰ってくれたと思うので。いま療養所ってこうなんだっていうことのひとつをきょうお伝え出来たと思うんですね。今からでも間に合うことがあると思っています」
「ありがとう」

終わりゆく療養所を残し、伝える。沢さんは、誰もいなくなっても、大島に通い、歌い続ける覚悟です。

(沢知恵さん)「昔は入所者の人たちが、最後まで最後まで手を振ってくれて。毎回泣いてた…見えてるかな?おーい」
《盲人会々歌》作詞:早瀬正一作曲:赤尾定信
ふなあししげき内海の さざなみひかる愛の島 きのうに学びきょうを生き あらたにみちを拓きゆく つどうわれらの盲人会
白砂の浜に映ろえる 墓標の松のしずかなり あかるき窓に面あげて 歩みをともにかえりみる むすぶわれらの盲人会 みどりの風にいろ冴えて やさしくゆれる紅つつじ あすへの希いささやけば 屋島のみねは指呼にあり きよし大島の盲人会
《新良田教室校歌》作詞:川島保作曲:堤良三
緑の島は空晴れて 世界に続く瀬戸の海 理想は高し若人が ここ新良田に結ばれて 学ぶ我等に希望あり














