全国各地でいわゆるブラック校則が問題化していますが、愛媛県西条市の県立丹原高校では、校則の見直しを進めています。この取り組みの主体となっているのは生徒。その狙いとは。

廊下のボードに張られた数々の付箋紙。“髪型の自由化”“スマホの使用方法”といった言葉が並びます。
これらは高校生たちが考える見直したい校則残したい校則です。
愛媛県立丹原高校では今年度から「ルールメイキングプロジェクト」を立ち上げ、生徒が主体となった校則の見直しを進めています。

夏休み期間中のこの日、プロジェクトの中心メンバーが、生徒の意見を集約していました。生徒たちはプロジェクトを通し学校の自由な環境を自分たちの手で作りたいと考えています。

丹原高校2年 菅音々葉さん 
「いつも口だけで終わっていたものを今回のルールメイキングプロジェクトで実現に変えられたらもっと学校生活が楽しくなると思うし、自分達の自由な学校が作れると思うので始めようと思いました」


この日、丹原高校で校則をテーマにしたワークショップが開かれました。約60人が2つの教室に分かれ、グループごとに熱い議論を交わしていきます。

(ワークショップ)
「ジェンダー尊重に関しても髪を伸ばさなかったら、例えば男の子の体だけど女の子の心を持った人がいたとすればその人は髪を伸ばしたいと思う」


参加者には教諭や保護者、それに卒業生の姿も…。立場の違う人たちの経験や意見も見直しに反映させようというのです。

(ワークショップ発表)
「髪型、ピアスとか制服についてが多かったが、ビジネスマナーだとかTPOがすごく大事だという意味で変えたいけど残すというのも大事なのかなというふうに話し合いました」


実はこのプロジェクト、校則の見直しを通して生徒の主体性を引き出すだけでなく、地域住民とも意見を交わすことで意思決定の力を高める狙いもあります。
参加した保護者や卒業生からは、時代とともに変化する教育現場に驚きを感じたようです。

保護者
「私が高校生の時にはそういうことを提案することもなかったし提案があるってこともなかったので、やっぱり高校生変わってきてるんだな思いました」


卒業生
「自分が在学中にはなかった機会だったのですごく貴重な機会だと思いましたし、生徒の意見が生で先生とか地域の方と交差するという機会はすごく良いものだと感じました」

約1時間半のワークショップを終えた生徒たち。見直しに向けたヒントは得られたのでしょうか?

丹原高校2年 田中朝陽さん
「卒業した先輩方の意見や保護者の方々の意見が聞けて、自分達が思いつかなかった意見などが聞けてとても良かったと思います」


谷口大祐教諭
「自分の意見を主張するのではなくていろんな意見を聞いて納得解を作っていく、そういうプロセスが大事なんだというのをこのルールメイキングプロジェクトを通して感じ取ってもらえたら良いなと思います」


プロジェクトでは今後地域でヒアリング調査を実施するなどして、来年1月には最終的な見直し案を完成させる予定です。

“受け身から提案へ”。母校の歴史に新たな1ページを刻むため生徒たちの活動が続きます。