取って取られてを繰り返し…果敢に相手に立ち向かう文芸部員たち

 そして大会当日。正岡子規が生まれ、俳句の聖地である愛媛県松山市。実に3年ぶりに、北は北海道、南は沖縄まで、地方予選を勝ち上がった32校が集いました。
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 審査員の中には毒舌で知られる俳人・夏井いつきさんの姿もありました。

 (夏井いつきさん)
 「この活気だよねって、うれしくなっています。高校生らしさみたいなところに高校生が甘えるのも好きじゃないし、それぞれが生きている自分として自分を表現すればいいわけですから」
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 緊張の予選リーグ初戦の相手は「宇都宮中央女子・中央高校」。初出場同士の対戦です。5人1組で3つ俳句を披露、先に2句取れば勝ちです。
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 智辯和歌山高校の1句目は『七月や机にボールペンの躯』。

 【討論の様子】
 (宇都宮中央女子・中央高校側)
 「7月にボールペンの亡骸というか、たぶん使い終わった後のことだと思うのですけれど、7月とそれをを掛け合わせた理由を教えてほしいです」

 (智辯和歌山高校側 伏見果帆さん)
 「夏休みの宿題でも7月の初めにやり始めると思うんですね。ボールペンで書き続けることで何本も無くなっていくと思うのですが、最初の1本を使い終わった時の達成感ってひとしおだと思うんですよ」
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 一方、相手の句は『七月や教室満たすカルキ臭』。

 【討論の様子】
 (智辯和歌山高校側 伏見果帆さん)
 「カルキ臭ってたぶんみんながプールの授業から教室に帰ってきてすごくカルキ臭がしていると思うので、『教室満たす』とあえて言わなくてもいいのではないでしょうか」

 (宇都宮中央女子・中央高校側)
 「あえて『満たす』という言葉を入れることで、全員がプールに入ったすがすがしさと部屋の熱気(を表現した)」

 相手のディベート力がわずかに上回り1句目を取られてしまいます。
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 巻き返したい智辯和歌山高校の2句目は『七月や乾かぬ絵具と日記帳』。出場できなかった榎本さんの作品で勝負に出ます。

 (俳句の説明をする伏見果帆さん)
 「これからの7月、思い出を作っていくぞという期待感をこめて」
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 相手に果敢に立ち向かい見事取り返します。勢いそのままに3句目も『七月の青くもりたる早旦よ』で取って初勝利を飾りました。

 (伏見果帆さん)
 「すごくドキドキしました。ずっと接戦だったので『こわいこわい』と思いながらディベートしていました」
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 会場には伏見さんの両親の姿もありました。

 (果帆さんの父)
 「思いがけず一生懸命頑張れていたので、次も引き続き会場にのまれないようにと思って」
 (果帆さんの母)
 「自分だったらためらうようなことを、頑張っているなと思って、うれしいですね」