高校生が5・7・5を詠み、喜び、涙するもう1つの甲子園、それが『俳句甲子園』です。地方予選を勝ち抜いた全国32校が出場します。3年ぶりの対面開催となった今年の大会に初出場を果たした智辯和歌山高校の文芸部。一句に魂を込めた高校生の夏に密着しました。

智辯和歌山高校・文芸部が挑む“もうひとつの甲子園”

 和歌山市にある智辯和歌山高校。野球部は春夏通算40回の甲子園出場を誇る強豪です。

 2年生の榎本恒喜さん。初めて俳句甲子園への切符を掴んだ文芸部の部長です。

 (榎本恒喜さん)
 「和歌山には俳句に力を入れている高校が何校かあるので。先代の部長とその先輩方を受け継いだというか、感化された感じですね」
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 智辯和歌山高校の文芸部員は11人います。大会では事前に指定された季語を使った俳句を提出する必要があり、30を超える句を準備しました。

 中でも自信作は『老猫の爪蚊柱を乱したる』。

 (榎本恒喜さん)
 「みんなで顔を突き合わせて作った句でもあるので、思い出深いなということもあって」

 年老いた猫が塀などに座ったまま柱状に飛ぶ蚊をうっとおしそうに払う。静と動の対比を見せた一句です。
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 大会では、俳句の出来栄えに加えて、互いの句の改善点を指摘しあう討論が勝敗を分けます。つまり討論がとても重要なのですが…。

 【部員同士で討論を練習する様子】
 (部員)「あたたかな雰囲気があるのならば広がるみたいな、こう…」
 (部員)「別の取り合わせの方が…、いいのではないでしょうか」

 まだまだ課題がありそうです。チームで一番得意な榎本さんが中心となり、返し方をアドバイスします。

 【『七月や机にボールペンの躯』という句について討論する様子】
  (1年生)「机とボールペンが若干近い気がしないでもないというか」
 (榎本さん)「机は場所の描写として必要なんじゃないかな。突っ込む力を鍛えていきましょう」
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 (榎本恒喜さん)
 「自分たちの(句の)見方というものをまだまだ深めていかないといけないなと。(Q榎本さんがたくさん発言する感じ?)そうですね。僕はしゃべるのが好きなので、緊張せずにハキハキとしゃべることを心掛けたいです」

 本番までには課題を克服し、目指すは初出場にして初優勝です。