現在は、専用の練習施設・環境が乏しい高知市に拠点を置き、カヌーを漕ぐ練習のため、香川・石川・鹿児島とを行き来する日々。時間と労力がかかっても「高知」にこだわるのは、障がいがある自らが“発信力”になるためです。

■小松沙季選手
「今、私は障がいがあり、『環境整備とか、もっと全ての人が生きやすい街づくりをしていかなきゃいけないな』と思っている。今、障がいがなかったとしても『いつか人は(老いて)不自由が出てくる』というのを『自分事』として捉えて、『問題解決に向けて意識を少しでも向けてほしい』と思っている」

「そのきっかけとして、『小松沙季は障がいがあるけど頑張っているよね』『障がいがある世界はどんな感じなんだろう』と考えるきっかけにしてもらえたら、ありがたいと思います。金メダルを狙って取り組んでいるので、その中で少しでもいい順位がついてきてくれたらいいなと思っています」
小松選手が出場する、パラカヌー、女子ヴァーシングル予選は、日本時間6日午後5時20分から始まります。
■小松沙季(こまつ・さき)
1994年10月1日生まれ、高知県四万十市出身。中村中学校→高知中央高校→大阪学院大学。小学2年の時に「中村ジュニアバレーボールクラブ」でバレーボールを始め、高校時代には「春高バレー」に2度出場。大学卒業後はVリーグの「ブレス浜松」でプレー。2018年に現役引退後、大阪でバレーボールのコーチをしていた2019年、突如体調を崩して約1年間入院し、両足にまひが残って車いす生活に。退院後、広島であったパラスポーツ選手の発掘プロジェクトに参加して様々な競技団体からスカウトを受け、特に熱心に誘われたパラカヌーを始める。2021年2月に初めてプールでカヌーに乗ると、徐々に実力を付け、わずか半年で東京パラリンピックに出場し準決勝進出。現在は、専用の練習環境・施設が不十分な高知市に拠点を置きながら、カヌーを漕ぐ練習のため香川・鹿児島・石川とを行き来する日々を送る。