◆「1週間家族の安否が不明」 情報共有の重要性

石田教授は、避難者の問題にも力を入れています。それは、沿岸部の岩手県大船渡市で港のすぐ目の前にあった妻の実家が東日本大震災の津波で流され、義理の両親の安否を確認できない状態が1週間ほど続いたからです。

石田教授「生きているか生きていないのかだけでも情報が欲しかった」

当時、安否情報は避難所に貼り出された紙などで共有されていました。ただ、津波で甚大な被害を受けた沿岸部まで確認しに行くのは難しい状況で、半ばあきらめかけていたと言います。幸い1週間後、自衛隊の衛星電話を通じて連絡があり、無事を確認することができました。この時、誰がどこに避難しているのか分からないことにもどかしさを感じ、「情報共有」の重要性を痛感したことが今の研究につながっています。

◆避難所の情報を「見える化」 コロナ禍で密の回避も


新たに開発しているのは、二次元バーコードを使って避難者の情報を登録し、どういった人(性別年齢など)が避難しているか、避難所の状況を「見える化」するシステムです。混雑状況も分かることから、コロナ禍で気になる「密」の状況を回避できるほか、支援物資の適正な分配などにもつながると期待されています。

東日本大震災の際に発生から1週間で設置された避難所は2000以上。自治体やボランティアの人的資源も限られる中、石田教授は被災した時を見据えた準備を進めておくことが重要だと指摘します。

石田教授「今のうちからシステム化しておくことで、いつ起こるわからない災害に対しきちんと対応する必要があると強く感じました」

これまで経験したことがない災害が相次ぐ中、どう被害を減らしていくのか?誰もが自然災害で被災する可能性がある中で、どう被害を減らし被災者を支援していくのか?人手や予算も限られている中、情報をデジタル化して共有し、効率的に活用していくことがより重要になりそうです。