「公益通報者を守れなかったのが一番の核心」

中西悠理アナウンサー:
そもそもこの百条委員会ですが、地方自治法第100条に基づき設置され、虚偽の陳述をした場合は、3か月以上5年以下の禁錮と刑事罰が科される可能性があるなど、強い権限を持っています。

今回の百条委員会でパワハラがあったか問われた斎藤知事は、「パワハラかどうかは、私が判定するというより、百条委員会や第三者委員会が判定するものだと思います」との答弁を繰り返しました。

6日には、斎藤知事と側近らが出席します。

パワハラを内部告発してその後死亡した元局長について、告発者保護の観点から、県の処分が妥当だったかなどが問われることになります。

一方で元局長の処分を巡っては、新たな疑惑も浮上しています。

元局長のパソコンを調べた際、当時の総務部長が保存されていた私的な情報の一部を県議らに漏らした疑いが出ています。

県はこの前総務部長について、外部の弁護士に調査を依頼する方針ですが、元局長は生前、百条委員会に「プライバシーに配慮してほしい」と要請するなど、こうした私的な情報が流出することに不安を抱えていたとされ、波紋が広がっています。

膳場貴子アナウンサー:
斎藤知事だけではなく、元側近たちを巡っても新たな疑惑が今出てきているわけですが、これをどう見たらよいのでしょうか。

ジャーナリスト 青木理さん:
パワハラやいわゆるおねだり疑惑ももちろん重要で、解明しようということで百条委員会が開かれているわけですが、それと同時に公益通報者を守れなかったというのがこの問題の一番の核心だと思います。

あらゆる組織の不正とか不法行為、ましてや公的機関とか権力機関の内部での不法などがはびこると、広く市民が被害者になるわけです。内部告発者や公益通報者を守らないといけないというのが大原則です。例えば最近では、鹿児島県警で前生活安全部長を告発した人が逮捕されてしまった。警察が警察であるがゆえに持つ強権を使って口封じたんじゃないかと言われています。

今回のケースを見ていると、公益通報者を嘘八百だって言って処分した上に、パソコンを押収してその中の非常にプライバシーな情報で圧力をかけていて、最終的に元局長は自らの命を絶ってしまったのだとすれば、それは最悪のパターンです。

知事の資質、パワハラやおねだり疑惑はもちろんですが、この公益通報者がなぜ亡くなったのかというあたりを調べなくてはいけない。そして同時にもう一点だけ言えば、パワハラ知事や市長はあちこちにいますが、それを生み出したという威信的な政治にも視野を広げて、政党の適格性も問うていく必要があると思います。