■米市場と新しいヱビスビールへの挑戦

今年主力の黒ラベルが好調でビール類の販売を伸ばしているサッポロビールだが、一方で日本のビール類の市場は年々縮小している。そこで、サッポロビールが強化しているのがアメリカ市場だ。北米のクラフトビール会社を買収したが、どういう狙いなのだろうか。


サッポロビール 野瀬裕之社長:
国際事業もしっかり取り組もうということをやってきており、特にアメリカについては日本のビール業界の中でも輸出を始めたのが早く、50年以上前から取り組んでいます。アメリカで販売しているサッポロプレミアムというビールが過去最高の売上になっています。

ただ残念ながら、アメリカに製造拠点を自社で持っておりませんので、グループ会社のカナダの工場から運んだり、ベトナムから太平洋を渡って運んだりしていて、いま物流コストや海上運賃がすごく上がっています。アメリカ国内で販売できる環境を作れていることはとてもいいことなのですが、数年前からアメリカの自社工場を検討してきました。サッポロビールは買収したアメリカのクラフトビールメーカー、ストーン・ブリューイングが持つカリフォルニア州とバージニア州の工場をサッポロプレミアムビールなどの生産拠点として活用する計画だという。

ーー国内マーケットが全体としては縮小していく中で、海外でより収益を得るようにしていく方向か?

サッポロビール 野瀬裕之社長:
日本の市場がこれからどうなって行くか。人口問題や高齢化問題で悩ましい状況になっているのはひとつの事実だと思うのですが、アメリカでサッポロブランドを買っていただくにもやはり日本においてしっかり頑張っているというファクトがないと。アメリカで頑張ればいいというわけではないと思っています。国内では、リブランドに成功した黒ラベルと並ぶ主力商品のヱビスビールについても力を注ぐ方針だ。

ーーヱビスブランドのリニューアルプロジェクトがあるのか?

サッポロビール 野瀬裕之社長:
ブランドコンセプトのリニューアルは進めています。都内のど真ん中、東京・恵比寿の本社の地下にもう一回ビールの醸造所を作ろうという構想があり、そういうことを含めてアクションを取れるようにこれから進めていきたいと思っています。

ーー正真正銘のヱビスビールを恵比寿で作ると?

サッポロビール 野瀬裕之社長:
ヱビスビールそのものもあるかもしれませんし、それ以外のイノベーション的な新しいヱビスビールをぜひ作ってみたいと思っています。