社会問題を描くときに必要な「違う視点」
映画『ラストマイル』で物流問題を描いたきっかけは、コロナ禍で、塚原監督が何気なく感じたことだったといいます。
塚原あゆ子監督:
「前は水を自分で買いに行ってたんですよ、スーパーに。でも重いし車が無いから、ちょっとお願いしちゃうようになったりして。夜中にポチッてる時の自分からの信号が、どういうふうな感じでお手元に宅配が届くのかなと」
ふとした疑問を大事に、掘り下げ膨らませることで誰もが“自分事”に感じるー。
さらに身近な問題を取り上げるからこそ、気を付けなければならない点もあると話します。
塚原あゆ子監督:
「一つの観点だけで話をしちゃうと、それがどんなに正義であったり、どんなに正しいことであっても、多分違う。だから今回も違う視点のキャラクターが点在している。描き方としてはそうした方が良いんじゃないかなと」
“正しいことを決めつけて押し付けない”、観た人が一緒に悩むことできるようにー。
出演した満島ひかりさんも、
「すごいです。本当に色んな視点で描いて、問題がふっと浮き上がってくるというか、私たちの手元に問題が届いてくる感じがある」と興奮気味に語りました。
また、舞台の物流倉庫からほとんど外に出ることがなく、どのくらい大きな事件が起きているのか見えない状況だったと話す岡田将生さんは、「その見えないところを監督や満島さんや皆さんと整理しながらやらせて頂けて、すごく充実した撮影だった」と振り返ります。
舟渡エレナ役 満島ひかりさん:
「自分の日々の思いに通ずる痛みや悲しみが沢山ある作品。ただ、観ていると、人と人との間に確かにある小さな温かいものがいっぱい出てくるような映画なので、ぜひ観て頂きたい」
(THE TIME,2024年8月23日放送より)