盆地で内陸 気温は上がりやすい地形だが・・・

太宰府は、なぜこんなに暑いのか。

これまで、大きく2つの理由が知られていました。地形的に気温が上がりやすい盆地であることと、内陸で海風が入りにくいこと。

しかし、これに加え、もうひとつ要因になりうることがありました。

太宰府の気温を計るアメダス(地域気象観測システム)の場所が10年前に移設されていたんです。

それまでは、太宰府市通古賀という、広い畑に囲まれていた場所にありました。

ところがそこに、太宰府市の体育館が建つことになり、現在の場所である太宰府市大佐野に2014年3月、移設されたのです。

現在の場所は、北、西、南側がアスファルト道路に囲まれていて、特に北側は片側2車線の県道でかなり交通量が多そうです。

この移設により、太宰府市で観測される気温が上がってしまったのではないか。福岡管区気象台の担当者に聞くと「距離にして約1.8キロ、高さは20メートル高い場所への移設です。周りの観測所のデータと比較しても、極端な違いはなく、その影響は小さいと考えています。」とのことでした。

10年前の気温と比較してみた

実際、この10年で太宰府市の気温はどうなったのでしょうか。

移設前と移設後10年間の8月の毎日の最高気温を比較してみました。その差を平均すると、1日あたり0.39℃。確かに大したことはなさそうです。

ところが、1か月分にすると0.39℃×31日で約12℃となるのです。この12℃が太宰府の極端な暑さの要因の一つなっているおそれがあるのではないでしょうか。

たしかに、この10年で地球温暖化の状況はより深刻さを増しています。しかしそれは多くの地域でも起こっていることで、太宰府市だけが極端な暑さの記録を更新し続ける理由にはならないように思われるのです。

RKB毎日放送 気象予報士 龍山康朗