人気のワーキングホリデー 懸念される落とし穴も…!?
オーストラリアへのワーキングホリデー人気の一方で、懸念される事態も起きている。

「スマ留」を運営 リアブロード 神田慎社長:
ワーキングホリデーの需要増加に伴ってひずみもきているのも現状。就労先がなかなか見つからないというような声を聞いている。もう一つは住まい。住居がなかなか見つからないという問題もある。
ワーキングホリデーを利用する人が増えすぎて、働き先や住む家が見つからず、帰国を余儀なくされる問題も起きているという。“出稼ぎ留学”で、今はアシスタントシェフとして働いている足立さんも仕事に就くまでに苦労があったという。
レストラン勤務 足立涼太さん:
100件ぐらいは回って、たくさんレジュメ(履歴書)を配った。その中の1件という感じ。
こういった問題に「スマ留」では、渡航後に企業の面接を確約する「就労サポートプログラム」や、自社専用の学生寮を展開するなどの対策をしている。
「スマ留」を運営 リアブロード 神田慎社長:
海外に出て、外貨を稼いで貯金をしようという人はこれからも増えるのではないかと捉えている。
オーストラリア通信員が見る ワーキングホリデーの今
オーストラリアで実際に、取材にあたったTBSシドニー通信員の飯島浩樹記者に聞いた。
――日本人のワーキングホリデーは増えている実感はあるか、また他にどんな国の人が来ているのか。

TBSシドニー 飯島浩樹通信員:
コロナ禍が明けて、かなり増えているように感じる。先日、日本のレストランチェーンの方に話を聞いたが、30名の求人に200人以上が応募してきた。そのほとんどが日本人のワーキングホリデービザで来ている人だったということ。それだけ増えていて仕事もなかなか見つからなくなってきている。そしてワーキングホリデーで来ている人は日本人だけではなく、ヨーロッパや南米、特にブラジルの人が多い。語学学校にもブラジル人学生が多く、シドニーのカフェやレストランもブラジル人のワーキングホリデーで来ている方が働いてるのをよく見かける。
――ブラジル人やヨーロッパの人たちと、日本から行ってるワーキングホリデーの人たちは仕事を奪い合う関係か。
TBSシドニー 飯島浩樹通信員:
そういうことになる。先ほど取材した足立さんは100件以上履歴書を出して、見つかったのは老舗の素晴らしいイタリアンレストランで足立さんにとっては「非常にラッキーだった」と言えるかもしれません。それから仙石さんもラッキーなことに仕事が見つかったが「友人はかなり苦労している」と言っていた。ただ仕事が全くないわけではない。ブラジル人学生は、かなりアピールして仕事を得ている。それから関係者に聞いたが、日本人が仕事を得るまで「英語」がネックになってきている。ただ、やる気や誠意があれば採用すると言っている。そしてコロナ禍のときはフルーツピッキング・農場もワーキングホリデーに依存していて、(ワーホリ雇用者が)ゼロになってしまったときに、農園が潰れる事態が社会問題になったぐらいなので、大変だが仕事はあるといった状況。
――オーストラリアでの生活は30年ぐらいだそうだが、当時もワーキングホリデーは人気があったと思うが、今と比べてみてどうか?
TBSシドニー 飯島浩樹通信員:
様変わりしている。当時はワーキングホリデーで「ホリデー」が重要で、「ワーキング」は、付いてくる。シドニーやメルボルンに来てカフェや日本食レストランで働いてお金をアルバイトで稼いで中古のバイクや車を買って、広大なオーストラリアを1周することが、「ワーホリの定番」といわれていた。だが、今円安の状況で最低賃金がどんどん上がっているので、ワーキングホリデーの「ワーキング」だけをやって「ホリデー」しないで帰ってしまう、まさに「出稼ぎ」で来ている人が増えているように感じる。
――違いはあるにしても、若い人たちが海外に出ていろんな体験をするというのは、国際交流という意味でやはり重要だ。
TBSシドニー通信員 飯島浩樹記者:
その通りだと思う。オーストラリアは他の先進国と比べても非常に治安が良くて安全。先日、オペラハウスの隣の公衆トイレで携帯電話を忘れてしまったが、翌日返ってきた。それから財布を忘れても返ってくるという話もよく聞く。そして多文化社会オーストラリア。ブラジル人のように頑張って誠意を持っていれば職にありつける、認められるという社会。もちろん住宅の問題はある。一つの狭いアパートに6人がシェアをしなければならない。それから物価。シドニーは世界有数の物価高の都市になっている。オーストラリアには、日本に欠けていることを、つかめるのは絶対にあると思う。ぜひ準備をしっかりして、オーストラリアのワーキングホリデーに来ていただきたい。