派閥解消で乱立模様も実態は?
上村彩子キャスター:
自民党総裁選は、19日に立候補を表明した小林鷹之氏を始め、ご覧の名前が挙がっていて乱立模様となっています。ただ、星さんによりますと、これは自民党の苦境の表れだということですがどういうことでしょうか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
自民党は、いま裏金問題で結党以来最大の危機にあると言ってもいいのですが、その中でこれは大変だと手を挙げようという人が増えてきました。これ自体は、結構なことです。今まではそれに対してその派閥の親分が抑え込んできましたが、それがなくなりました。ですが、このメンバーを見てこれまでの裏金のときに積極的にその真相解明すべきだとか、抜本的な政治資金のあり方を改革しようと大きな声を上げた人が果たしているかどうかとなるとちょっと疑わしいです。なので、やや説得力を欠く議論になっています。
藤森祥平キャスター:
今、お話に出た結党以来最大の危機と、その裏金問題についてこちらをご覧ください。19日の小林さんの出馬会見の中で、裏金問題の実態解明について記者から聞かれました。その答えがこちらです。

「私も実態がよくわからない。検察当局が調べる中で不起訴処分になっている。自民党が調査するのも一定の限界があると思う」
若手を束ねて悪しき慣習を本気で改革する気持ちを示すのかなと思いましたが…
星浩さん:
勢いのいいこと言った割には他人事になってますよね。多くの国民の疑問はこの裏金が何に使われたのか、脱税じゃないのか、抜本的な政治改革ができているのかどうかなのですが、それに対してはほとんど答えていないです。
これからも論戦が続きますので、その中でぜひもう少しまともな改革の方向を議論してもらいたいと思います。
藤森祥平キャスター:
世代交代という点で、海外では30代40代のリーダーが珍しくない中で、小林さんは40代後半であり永田町では若い方になりますが、斎藤さんにこの自民党総裁選はどう映りますか?

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
小林議員は、「コバホーク」とも呼ばれて若い方です。
ですが、いま星さんもお話したように裏金の問題にしっかり取り組もうという気も映らないし、旧統一教会との関係もあり、そういう人が急に今回総裁選に出て、急に党の改革のようなことを言い出して、それに説得力をどれほど感じるかとなると、今だけなのではないかと私は疑ってしまいます。党全体に自浄作用がない中で、トップだけを変えても仕方がないのに結局このような形で、連日マスメディアを利用して自民党が広報活動を行うような状態になってるのは大変遺憾に感じています。
上村彩子キャスター:
乱立模様となっていますが、名前が挙がっている11人の候補者のうち、いま星さんが有力視されてるのはどなたでしょうか?

星浩さん:
レースが始まったばかりですが、石破さんは今まで4回負けて今回5度目の挑戦で推薦人20人は固まったとのことで、地方票は非常に強いんですよね。
ですから石破さんが少しリードして、それを追いかけるかたちで政策に強い林さんや加藤さん、人気者の進次郎さんなどが石破さんをどのように追いかけていくのかがポイントだと思います。
藤森祥平キャスター:
解散総選挙が行われる前までの当面の間は、この11人の中から選ばれる次期新総裁が総理大臣になりますが、斎藤さんはどのあたり注目されてますか?
斎藤幸平さん:
国民が求めてるのは裏金問題だし、経済で言えばインフレや円安、アベノミクスの出口を見出していくことだと思います。ただ、その経済関連で言えば、先程のニュースにもありましたが8月の台風や酷暑、ゲリラ豪雨、それに伴う米不足・野菜不足などの気候変動の影響が出てきています。なので気候変動対策の簡素化をしっかり党内で議論してビジョンを示してほしいなと思います。
一方で、立憲民主党の方は野田さんや枝野さんが出てきて、自民党よりもさらに新鮮味がない感じになっているのが、自民党からすればラッキーかもしれません。