知的障害者が施設ではなく、地域で暮らせる社会の実現へ
相模原市にある知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、1人の男によって、入所していた19人が殺害された事件から8年が経ちました。
7月27日、「津久井やまゆり園事件を考え続ける会」主催で、やまゆり園を出た人たちのその後を考えるシンポジウムが開かれました。
知的障害者が施設ではなく、地域で暮らせる社会の実現がテーマです。
最初に紹介するのは、事件後に地域での暮らしを始めた一人で、重い知的障害と自閉症がある尾野一矢さんです。
尾野さんは4年前から、重度訪問介護のサービスを受けながら、1人でアパートで暮らしています。
シンポジウムでは、父親の尾野剛志さんが登壇しました。
尾野さんは事件当時、園の家族会の会長で「親がみられないのだから、施設に入っていれば、幸せだ」と考えていたと話しました。
「犯人に刺された息子は一命をとりとめましたが、息子との向き合い方を考え直した」という尾野さん。
「以前と今の一矢は180度違う」と、一矢さんと介護者が、江ノ島に出かけた時の写真などを見せながら、「施設は、自分の意思では何もできなかったんです。それが、いま自分で、自分の思いのまま。『ご飯何食べたい』って聞くと、鰻とか、カキフライとかって。そうすると、介護者さんが『一緒にじゃあ食べに行こう』って連れて行く。そういうふうにちゃんと意思を確認して、利用者さんの思うがままに生きていける。それが普通の暮らし、地域移行、自立です。皆さんがこうやって応援してくれてれば、できるんですよ」と一気に語りました。














