模擬原爆は全国に49発投下され約400人が犠牲に

 終戦直前、広島と長崎に相次いで落とされた原子爆弾。世界で初めてとなる核兵器の使用を前に、アメリカは入念な準備を進めていました。

 丸みを帯びた形で、通常の爆弾より高い位置から投下する原爆は、目標に正確に落とすのが難しいことが課題でした。そこで、長崎に落とされた原爆「ファットマン」とほぼ同じ形・大きさの爆弾に、核物質ではなく、通常の爆薬を詰めた「模擬原爆」を使い、投下訓練を繰り返していたのです。

 原爆の投下候補地とされた京都や広島などの周辺都市を中心に、7月20日から8月14日までの間に49発が落とされ、約400人が犠牲になりました。