空襲の夜、息子が笑った理由
アメリカの爆撃機B29が空を飛び交い、次々と焼夷弾を落とした。家の外のあちこちで『ドカーン』と爆音がする。

「B29が低空して来ると、いつも『もうやられる』と思った。急いで座布団を背中に背負って、赤ちゃんにおおいかぶさりました」と箱石さん。自分はどうなってもいいけれど子どもは守りたい、その一心で必死だった。
「赤ちゃんは、あやして遊んでくれていると思っているのか、キャッキャと喜んで笑うんです」。
飛行機が遠のいたか確かめようと窓を開けると、花火のように焼夷弾がピラピラと街に降っていた。
