物語を背負っている、佐伯の“義”

──佐伯教授は、 天城雪彦という“禁断の果実”に手を出してまで自身の野望を叶えようと画策します。内野さんは、佐伯教授のこのような姿勢をどうお感じになりますか? また、同じような経験をされたことはありますか?

佐伯には、天城という悪魔を東城大の体のなかに入れてまで、達成したいことやどうしても欲しいものがあります。

「役柄と自分の共通点は?」と聞かれることがありますが、佐伯清剛に関しては自分と似ている部分はあまりないんじゃないかな(笑)…あ、ありましたね。佐伯は東城大に揺さぶりをかけて混乱を楽しんでいるところがあります。常に、現状に満足しない人、そういう意味では自分に似ているところはあると思います。

野望のために禁断の果実に手を出すということが自分にあるかといえば、どうでしょう。しいて言えば、役者という道を志していること自体が、禁断の果実に触れていることかもしれませんね(笑)。

──かなり強いキャラクターの佐伯ですが、演じていて、リスペクトできる部分はありますか?

演じながら、佐伯に対して日々いろいろなことは感じていますけど、義理堅い人なのかなとは思いますね。

『ブラックペアン』では、自分のために罪をかぶって東城大を去っていった、渡海征司郎の父・渡海一郎先生の思いを無にすることなく生きているところとか。“義”を持っていて、それをきちんと受け継いで生きてる人なのではないかと思います。

だから、自分の野望だけで突っ走ってるふうに見えるけど、実はそうではないっぽいぞという思いは視聴者の皆様も感じているのではないかな。

なので、佐伯っていうキャラクターも、このドラマの謎解きの一つというか、物語を背負ってる大きな立ち位置だと思っています。