“触らせない”レスリング

これまでの取材で私は、五輪4連覇の伊調馨選手、リオ五輪金メダリストの登坂絵莉選手や土性沙羅選手らの強さを体感してきた。

吉田沙保里選手には高速タックルを、朱理選手に日体大で指導している伊調選手には、得意技のアンクルホールドを決められた。彼女たちの圧倒的なスピード、パワーには毎回驚かされた。

朱理選手はどうだったのか。そこには、強さを実感できない「強さ」があった。強さを実感できない理由は、相手に“体を触らせない”レスリングをするからだ。

組んでみると、パワーや技術力を体感できるが、それを感じることができない。ここに彼女の強さの秘密がある。“触らせない”ということは、ポイントを取らせない。つまり失点がないのだ。

だからこそ、彼女は負けない。究極の「相手に体を触らせないレスリング」で、中学2年生だった2017年から公式戦133連勝が続いている。