水族館の潜水調査で相次ぐ発見…なぜ?
熱帯魚のような見た目の通り、九州や四国など暖かい海を好む南方系の魚として知られるミノカサゴですが、今、富山湾で増えているんです。水族館で展示されているミノカサゴもほとんどが富山湾で捕獲されたものです。


木村さん「富山湾では昔は比較的、珍しいお魚で、幼魚だけが確認されていると言われてたんですけども、年々、増えているように感じます。漁師さんから網にかかったよって連絡をいただくこともよくあって。おそらく富山湾近海で、繁殖もしているのかなというふうに推測しています。最近は、越冬したミノカサゴはたくさん確認されていますので、もう″死滅回遊魚”という定義からは外れてきているのかなと」

死滅回遊魚とは、本来なら生息するはずのない海域に流されてしまい冬場の海水温の低下や環境の変化などに耐えられず死んでしまう魚のことです。
富山湾には日本海を北上する対馬暖流にのって南方に住む魚の幼魚が流されてきますが、その多くが冬を越えられずに死んでしまいます。

ミノカサゴも「死滅回遊魚」として考えられていましたが今は、その定義からはずれ近年、富山湾でも越冬し繁殖している可能性もあると木村さんはみています。

木村さん「海水温が少しずつ上昇してますのでそのミノカサゴの生育に適した環境に徐々になっているのかなと考えられます。ミノカサゴに限らず色々な海の生き物の生息域が徐々に北の方に少しずつ移っていっているのかなというのは、海に潜ったりとか、漁港に水揚げされる魚の種類などを聞いてもやっぱり感じます」
富山湾でも繁殖しているかもしれないというミノカサゴ。魚津水族館が海に潜って行う生態調査でも、ミノカサゴが相次いで確認されました。
木村さん「こちらの写真は去年、魚津の海で潜った時にみつけたミノカサゴの幼魚の写真になります。大きさとしてはここの体の長さが5センチくらいかなという感じですね。まだまだ模様が薄くて、とてもきれいな色合いをしている。大人のミノカサゴとは、ちょっと印象が変わるかなと思います」

ミノカサゴの幼魚は成魚に比べると模様も薄く体もスリムな印象です。