医師の目では気づきにくい“わずかな異変”を察知するAIに…“色”で手術をサポートするAI…はたまた認知症に大きくかかわる「海馬」の精密測定を可能にするAIまで。
今、医療の現場で急速に広がる最新AI技術を取材しました。
心臓病の「わずかな予兆」も見つけるAI
日本で、がんに次いで、2番目に多い死因「心臓病」。
中でも特に多い「心不全」は、初期では自覚症状が出にくいため、進行するまで気づきにくいのが特徴です。
しかし、今後は毎年の健康診断で早期発見できるかも!
健康診断でおなじみの「心電図」と「AI」を組み合わせた研究が進んでいるのです。
その肝となるのが、「仮想心臓」と呼ばれる心臓シミュレーション。

実際の患者の心電図やCT画像などから作成した心臓の3Dモデルで、モニターに表示された「仮想心臓」は、実際の心臓と同じように、ドクドクと立体的に鼓動。筋肉の動きや血液の流れが詳細に再現されています。
この「仮想心臓」を、「将来心臓病になりやすい心臓」から「なりにくい健康な心臓」まで、3万パターン以上を作成。これはスーパーコンピュータ「富岳」の担当。
そして、ここからがAIの出番!
『ジャパンメディカルデバイス』CEO千葉修一さん:
「3万件の仮想心臓データをAIに学習させて、
突然死につながる不整脈を判断する研究をしている」

3万パターンの心臓を知るAIが、心電図の波形から、病気につながる異変を察知するのです。
例えば…といって千葉さんが見せてくれた2枚の心電図の波形。

ほぼ同じ波形に見えますが、1つは「健康な心電図」で、もう1つは「突然死につながる不整脈の心電図」。
2つを重ねてみると、確かにわずかに波形がずれているところがあります。

このように医師の判断が難しいわずかな異変も、AIがサポートして見つけていけるようになるといいます。
現在様々な心臓病のサポートができるよう研究が進められていて、健康診断で、心電図検査のオプション(※費用1万円前後)としての実用化を目指しています。