「あのクオリティでできるのは世界で一人、堀米選手だけ」

荒畑さん:
堀米選手はグーフィーなので、背中側にレールがある形になって、階段の方に進んでいきます。

まずは、ノーズといってスケートボードの先端で地面を叩き、板と一緒に自分の体も270度回りながら、かかとで板を立てるブラントの体勢にします。

ホランキャスター:
4分の3回転して、(板を)のせて…

荒畑さん:
左足のかかとでキープしてブラントの状態を保ちながら滑り切って、最後に(板を)90度曲げる。

井上キャスター:
3回ミスしたときは、どういうミスをしてしまったんですか?

荒畑さん:
組み方が浅かったり、回りすぎたり、かけそこなって地面に落ちて転倒してしまったり。最後まで滑りきったけど、バランスが後ろになりすぎて、すっぽ抜けて板が飛んで、寝そべってしまうような形になってしまったり。

ホランキャスター:
成功となるためには、着地してもそのまま(板に)乗り続けなきゃいけないということですよね。

荒畑さん:
はい、その通りです。

井上キャスター:
あの技は他の選手も出来る技なんですか?

荒畑さん:
あのクオリティであの階段の大きさでできるのは堀米選手だけです。世界で一人しかいないと思います。

井上キャスター:
点差が開いていたから、優勝するためには成功させないといけなかったんですか。

荒畑さん:
あれを乗らない限りは、金メダルはなかったと思います。

ホランキャスター:
もう後がない場面でプレッシャーに押しつぶされずに、成功させるところが王者たる所以というか。もちろん大変なこともあったと思いますが…。

荒畑さん:
経験の違いもありますよね。

井上キャスター:
特に女子を見ていると、世代交代が早いじゃないですか。それをある意味で覆している堀米選手は何が違うんですか?

荒畑さん:
やはり環境の違いがあると思います。LAを拠点としていることは大きいと思います。

ホランキャスター:
それだけ刺激が多いということですか?それとも機会が多いという事ですか?

荒畑さん:
世界レベルのトップの人たちと常日頃スケートボードしたり撮影したりしているので、その環境は大きいと思います。

井上キャスター:
前回もそうでしたが、全選手が讃え合う競技性があるじゃないですか。個人競技を見ているはずなのに、全員が敵味方なく、仲間のように見えてくる。あの競技性はどこから出てくるんですか?これまでのスポーツに無かったと思いますが…

荒畑さん:
僕らはお互いをリスペクトしているところがあって、ちょっと調子悪そうでも「今日調子悪そうじゃん、どうしたの?」「ここを直した方が調子良くなるんじゃない?」って普通に言ったりとかもします。

ホランキャスター:
カルチャーからくるものなんですね。

荒畑さん:
気持ちから上げていって、みんなで気持ちを上げていこうっていう感じですね。

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<プロフィール>

荒畑潤一さん
プロスケートボーダー
元全日本チャンピオン 18歳で渡米しプロ選手に
大会運営やスケボー教室開催など幅広く活躍